家庭の窓
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情報の大波に向かってどのように泳ぎ切っていくか,その舵取りを意識しておかなければ,流されてしまいます。もう既に流されているということも自覚できなくなっているかもしれません。自発的な行動とは,指図されないことと言い換えることができます。「こういうときはこうしたらいいですよ」,そういうマニュアルがあふれていますので,大方のことは大して迷う間もなく片付けることができます。社会の有り様を文化という形で把握しようとするなら,今の社会はリアクション文化と呼ぶことができるのだそうです。
さまざまなお得情報を届けてくれる勧誘が個人宅にまで飛び込んできます。田舎の一隅にひっそりと暮らしている者に,うまい話が飛び込んでくることはあり得ないことと思っています。儲け話につられて詐欺に掛かるという事例が報じられているのに,自分は別だと思ってしまう人もいるようです。情報から学んでいないということですが,それよりも自分が何ほどの者かという自己確認が欠落しています。
情報の価値観として,すぐに役に立つことは,すぐに役に立たなくなるということがありますが,すぐに役に立つことは,すぐに足元をすくわれることになるというケースもあり得ます。情報の受け売り的行動は慎んだ方が良いでしょう。世間にはうまい話が転がってはいません。すぐには役に立ちそうもない些細な情報を集めて,注意深く正確な処理をして,時間を掛けて考察をし,自分なりのどこにもない情報を紡ぎ出すようにしたいものです。
指図されないこと,それは聞いたままに動くのではなく,聞いたことを自分の立場に照らして吟味することから始めて,自分の判断ができるようにじっくりと考えることです。自分らしさが発揮できるように,そう意識していれば,振り回されることは少なくなるでしょう。誰でも手に入る情報から,どうしてそんな結論が出てくるのか,その処理ができるときに,自発的な活動が可能になります。そのためには勝手に飛び込んでくる情報ではなく,こちらから探し求めて質のよい情報を手に入れることです。
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