《腰低く 当たれば人は 流れ来る》

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 150世帯の隣組の世話役を今年度の当番として仰せつかっています。行政上は組合という単位になっているので,組合長が正しいのかもしれませんが,通称「組長」と呼ばれます。入居間もない若い世帯を訪ねるとき,「組長です」と名乗るのにちょっと抵抗があります。もちろん,慣れている人には何の躊躇もなく言い交わしています。
 ところで,回覧板は7班に分けて回していますが,回収できる日数が班によって大きく違います。返ってこない回覧板もいくつかあります。前任者から申し送りで聞いていましたが,そのときはお隣伝いに渡せば済むのに,なぜ返ってこないのかが不思議でした。独身者のところで滞留するという憶測も聞かされました。ほとんどの世帯で昼間が留守であったり,お年寄りで動きづらかったりという事情もありますが,それが回覧を止める理由にはなりません。
 組長としては回覧板が返ってこないと困りますので,何か手を打たなければならなくなりました。自分が回覧板を受け取った立場になってみました。回覧板は必ずしもお隣伝いには回ってはきません。留守をしているときは在宅している家にスキップしていきます。名簿と家の対応をすべて分かっていれば問題ないのですが,届けようとする○○さんの家がどこかを知らないと困ってしまいます。特にアパートでは若い人は表札を出していないので,探しようもありません。さらに最終の届け先が組長宅になっていますが,150世帯の全員が組長宅を知っているとは限りません。いずれにしても,どこに届ければいいのかが分からない可能性があります。
 そこで回覧板に全世帯の家の地図を貼り付け,班の区域を色分けし,アパートの部屋割り表も書き込み,組長宅をマークしてみました。転入間もない人でも,次の届け先の場所が地図上で探せるようにしたのです。もちろんことはそれほど簡単ではなくて,回収の悩みが完全に解消したわけではありませんが,返却されるスピードが上がったような気がします。
 困ったときに何とかしようと考えるのが人のようです。そのとき何を手がかりに考えるかが,解決可能性の鍵になります。社会的な問題の場合には,不実を責めて相手の変化を求めるのが通例ですが,それは余計に紛糾を招く仕儀になります。相手が楽になるようにこちらが図れば,水が低い方に流れるように,事態は良い方に動きます。このような小さな改良を無理しないように組み込んでいく根気強さが大事と実感しています。

(2001年08月12日号:No.71)