《感性が 検知できない 緩情報》

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 家の玄関から道路沿いの車庫に出ていく門扉まで数メートルの通路があり,腰高のブロック塀越しに見通せるようになっています。ある日のことです。こんなに広々とした視界が拓けていたのかと驚きました。それは,皇帝ダリヤの花が終わり,茎を根元から切り取った後のことです。ドリアは3メートルほどの高さに育って,見上げる先に花を咲かせます。玄関通路沿いには,2本咲いてくれていました。細い茎がすっと伸びて,数枚の葉が付いているだけですが,視界を狭めていたようです。
 春の芽が週毎に伸びていくのを感じている内に,背丈を追い越されていきました。ゆっくりですので,伸びたダリアがもたらす視界の変化を意識できずに,なれっこになっていました。ところが,切り取るという作業によって,いきなり視界が変わってしまうので,いやでも意識してしまいます。あるテレビ番組でアハ体験といって,ある風景写真の一部分が時間と共にじわっと変化するプロセスを見せて,どこが変わったかを問うことをやっていましたが,同じ感覚体験です。
 人の感覚は,微妙な変化に対しては,見取ったとしても無意識的に修正を重ねていくのかもしれません。情報が積分型で,総体が主な意味を持ちます。一方で,突然の変化という不連続な情報は,微分型の変化であり,変化自体が主な意味を持っています。秋から冬に徐々に気温が下がっていくと,冷えてきたという感覚です。暖房の部屋から寒い外に出ると,急激な温度差が痛いと感じられます。環境の急変は危険なので,痛みという激しい検出をして,回避行動を促す本能でしょう。
 生活習慣病というのも,ゆっくりとした影響は検知できないために,放置されるという不感性がもたらすことです。一方で,子どもの育ちが親には見えずに,久し振りに出会う他人だけが「大きくなったね」と見えるのも,微分的感性のお陰です。例えば,人を待つときは時間が長く感じられます。これは出会いという急な出来事に備えて,微分型の感性が作動しているので,時間の刻みを短くしているためです。場面を早回しで見ているようなもので,感性上の時間の経過が早くなっていて,いわゆるじりじりして待つという状況です。
 このように感性の2パターン,積分型と微分型という違いをみると,情報の意味が分かりやすくなります。同時に,情報に対する感度を自覚的に調整する手掛かりになるはずです。

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(2014年01月26日号:No.722)