《わずか1 軽く重くて 悩ましく》

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 信号待ちで,並列する車を何気なく見ているとき,隣のタクシーに貼ってあるステッカーが目の前にありました。「1194m570円」。初乗りの運賃表示です。アレッという気になりました。それは,距離の表示がいやに細かいということです。さらに6mを足せば,1200mという切りのよい数字になるのにと咄嗟に思ったのです。一体どういう計算によって94mという中途半端な距離が出てくるのか知りませんが,それなりの計算式があるのでしょう。
 車で走行するとき,数mはごく一瞬のことです。さらには,タクシーの距離計測の精度がどの程度なのかも知りたくなります。ちなみに,日頃目にしている車の距離計は最小計数が100m単位です。とても数mは見届けられません。
 タクシーメーターのJIS規格(D5609:2014)を見て見ました。

性能の項の5.1許容差について,許容差は,次による。
a)距離の許容差:タクシーメーターは,7.2 a)の試験をしたとき,許容差は試験距離に対して±0.2 %(ただし,最小値を 4 m とする。)を超えてはならない。

 さらに,7.2精度試験について,精度試験は,次による。
a)距離精度試験:タクシーメーターが 5.1 a)の規定に適合するかどうかの試験は,タクシーメーターを距離試験モードに設定し,試験距離に相当する走行信号を入力して,その試験距離と計測した値との差を算出して行う。試験距離は,0 から連続して 1 km,1.5 km,2 km 及び任意の箇所を含む 4 か所以上を計測して行う。

 料金を算出するメーターなので,それなりの精度が求められているようです。ただ,実走する場合,タイヤの空気圧などによる変動があるかもしれませんが,そのあたりのことはわかりません。この程度にとどめておきましょう。
 不動産物件などの場所情報として,駅から徒歩○○分という表記があります。人の歩行速度をどのように見積もるかがポイントになります。「5分,350m」という数字を見かけました。検索すると,「私たちの普通の歩行速度は毎分80メートル(時速4.8キロ)〜90メートル(時速5.4キロ)程と言われています。ウォーキングの場合は分速100メートル(時速6キロ)程で歩くようになると運動効果も上がってきます。」という情報がありました。また,「不動産屋さんは、歩くのが早くて時速4.8kmと法律で決められています。物件で徒歩何分というのは1分に80m歩きます。坂でも階段でもがんばってます。」ともありました。かなり,曖昧なもののようです。
 ところで,数字ではあるのですが,このコラムの号数を一つ動かすのはかなりたいへんです。一歩の積み重ねといいますが,1という数字の重さと軽さを感じています。

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(2014年06月08日号:No.741)