《鳥の目と 獅子の風格 望むべく》

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 組織は,トップが交代するとカラーが変わります。見かけが変わるためには,中味の変化も起こっています。ある組織の代表を辞任して1年が過ぎました。この間,外から眺めるともなく見ていると,思いもしないところに組織のしっぽが目に入ることがあります。こんなところに手が伸びてきたのかと,驚かされます。代表を続けていたら,これはなかっただろうなと思うと,交代した効果が現れていることがうれしくなります。
 ことさら意識して前任者のカラーを一掃しようというつもりではなく,後任者が自分流で役目を果たしていれば,自然とそうなるはずです。同じ物事を見ていても,人によって意味や価値付けが異なります。ある情報を耳にしたときに,聞き置くだけになるか,何かしらひらめくものがあるか,人によって違います。得られる情報も,人を見て,入ってきます。情報を持つ者から「あの人には伝えておいた方がいいだろう」,そう思われるかどうかで,情報の有無という決定的な違いが生じます。組織は人と人とのつながりです。
 組織はトップの有り様に応じてごく自然な成り行きとして再構築を起こします。組織は生き物といわれますが,今までとは違った構成要素を取り込んだ場合,何とかつじつまを合わせようと,自己補修作用が機能して,活動主体であり続けます。その修復力があるから,生き物なのです。
 トップの交代に組織が追従する一方で,もちろんトップの働きかけの違いによって,組織が活動を変えることも起こります。そのときにトップはリーダーと呼ばれます。トップの更迭といった事態は,そのことを期待しています。変動の程度は,通常は組織の規模に依存するでしょう。それでもカリスマ的なリーダーであれば,規模によらず激変が可能です。最も小さな家庭組織も,トップの意向が反映して,それぞれの家族活動が行われます。
 トップになりたくてなったことはないのですが,トップの場にいたことがあります。もちろん,リーダーの経験は無く,その素質もなかったので,大過なく務めたのみです。いきなりトップの場に立って組織のまっただ中にいると,組織活動が渦巻いています。ところが,その中心は台風の眼と同じで,いたって静かなのです。コンパスの中心針と同じで,ぐいと踏ん張って動かないようにすることが通常時のトップの役割になります。やがて組織に慣れてくると,中心針をどこに刺すか,その決定がトップに委ねられていると分かってきます。
 トップという呼称があるのは,高みにあるということであり,すなわち周辺を見渡す立場であり,したがって広い視野から状況を判断して決定するという意味が秘められているのです。

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(2014年08月10日号:No.750)