《本当の 相手の前に いる自分》

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 モテる男の条件は,かつては「三高」といわれていました。バブル期には,高学歴,高身長,高収入でした。これに加えて長男ではないを加えて「四高」とすることもありました。皆が上を見ていた時代,見栄を張り威張ることができる男性が女性を引き付けていました。ところで,バブルが弾けて世間はすっかり元気がなくなりました。
 そうなると,女性の求める男性像は「平均的な年収,平凡な外見,平穏な性格」という「3平」にトーンダウンしました。年収の高さより,平均的な年収の職業の安定性を,外見がかっこよければ浮気されるかもしれないので平凡な外見を,余計なストレスを感じなくて済むように平穏な性格を求めるようになりました。
 ところで,最近はさらに変わってきたようです。「低姿勢,低依存,低リスク,低燃費」の「4低」です。なにやらよく分かりません。低姿勢は「女性に威張らない,姿勢の低さ」,低依存は「家事を女性に頼らない,依存しない」,低リスクは「リストラされない,安定性」,低燃費は「節約できる,安上がり」ということのようです。
 当事者ではないので身につまされることはありませんが,若い未婚の男性はどう思うのでしょう。女性の側から勝手なことをいわれているのに,これまでも男性の側からの求める女性像が言われたことがありません。男性の求める条件は,ことさらに言わなくても分かっているというのでしょうか,それとも明らかにすることができないのでしょうか。それとも,無条件であるというのでしょうか。
 恋愛ということが男女を結びつけるイベントであるなら,惚れるのに条件を提示することはしないでしょう。かつての青年はそう思っているのですが,今時の若い男性はそうではないのでしょうか。何となくあれやこれやをチェックすることで面倒になって,踏み込めなくなっているようです。あばたもえくぼという目くらましも厭わない思い切りの良さが若いということであったのですが,そういう無茶をしなくなったから,先に進めないのです。
 平安の時代に,男性が「雨夜の品定め」として,女性に対する条件を示しています。とはいえ,作者である紫式部が女性なので,当時の男性の思いであるのか不明ですが。

《以下引用》 http://www.kokken-jp.com/genji/genji013.php 
 『源氏物語』第二巻「帚木」(ははきぎ)の巻の冒頭に語られている女性論で、光源氏十七歳の夏、五月雨(さみだれ)(梅雨)がつづくある夜に行なわれたので、「雨夜の品定め」というのです。場所は源氏の居室の桐壺。そこに義兄の頭中将(とうのちゅうじょう)・左馬頭(ひだりのうまのかみ)・藤式部丞(とうのしきぶのじょう)が参上。いずれも源氏よりも女性体験が豊かで、その経験から女性評論が行なわれるのです。
 はじめに、パーフェクトな女性はめったにいず、中品(ちゅうぼん)(殿上人・受領階級などの中流階級)の女性に、個性的ですぐれた者が少なくないと論じます。とりわけさびしく荒れ果ててツル草に覆われたような予想外の所で、可憐な娘に出会ったりすると、不思議に心引かれるとも言っています。
 つぎに生涯の妻を選ぶ基準は、(1)貞淑であること、つまり浮気をしないこと。(2)(夫が浮気しても)嫉妬をしないこと。この二つの条件が満たされれば、容姿とか階級などは問題にせず、こういう女性こそ一生の伴侶とすべきであるという結論に達します。
 そのあと、生涯の伴侶にはむかない、具体的な実話として、左馬頭は指食い女(妬婦)と木枯しの女(浮気女)のことを、また、頭中将は常夏の女(内気な女。のちの夕顔)、それに藤式部丞は蒜(ひる)食い女(賢女)との体験談を語って散会となります。
      ・・・・・『源氏物語の謎』増淵勝一 著 - 国研ウェブ文庫


 品定めは体験談であるということに注目すると,後から分かったということです。つまり,つきあい始めから相手を選別する条件ではありません。人はいろんな可能性を持っており,どの面を出すかは,相手によって変わってきます。そのことを考えると,相手のことより,自分のことを考えた方が賢明です。

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(2014年11月16日号:No.764)