《本当の 筋道抑え 人歩む》

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 NHKのある番組で,ちょっと気になることがありました。大したことではないのですが,そういう世情なのかと気付かされたことでした。
 健康の番組でした。腹筋か大腿筋かの話があっていましたが,正確には覚えていません。話題になっている筋肉の状態を自己診断する方法として,ある姿勢が提案されました。椅子に座っている状態で,靴下をはく動作をします。身体を前屈し床に足をついた姿勢で靴下をはくと,筋肉が衰えているということです。一方で,椅子に真っ直ぐ座ったまま足を引き上げて靴下をはく姿勢が取れると,筋肉は健康であるというのです。足を身体に引き寄せるのは,結構きつい姿勢になります。筋肉の衰えを思い知らされます。出演している方は試しながら,納得されていました。
 しばらく話が進んでいるとき,筋肉の話を進めていた男性が,番組を見ていた視聴者から届いた意見を紹介しました。「前屈みで足を床についた状態で靴下をはきます。椅子に座って足を引き寄せると,下着が見えてしまうので,しません」というのです。女性にとっては,さもありなんと納得できる意見ではあります。番組の中でも,そういうことは充分にあるということで紹介されていましたが,番組の流れが一瞬途切れた感じでした。
 確かにその通りの意見ではあるのですが,話の流れとはすれ違っています。それを言う局面ではない,空気を読んで欲しいという感じがしていました。同じような場面を思い出します。会議の席で議論が進んでいるとき,突然に「何それ?」という意見を持ち込む方がおられます。多くの場合,言っただけという扱いで無視されます。
 人が何かを提案する場合,必ずそうしなければならないということではなく,そこには必ず前提となる条件があります。番組における靴下をはく姿勢についても,そういうことで診断できますという一例でしかありません。適用できない場面も当然にあるはずです。会議の場における提案に対して,概して揚げ足的な反論がたくさん出されますが,本筋を外れた条件の問題を指摘するものです。どういう状況であれば実現できるか,議論の目的を外さないことが大人としての作法です。

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(2015年01月18日号:No.773)