《本当の 結末迎え 悔やみ消え》

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 何となく見守ってきた小学生の双子の女の子たちがいます。地域のボランティア仲間のお孫さんです。双子ちゃんとは生活空間が違うので,同じ地域に住んでいても滅多に出会うことはありません。ただ、ボランティア活動の一環として週に一回のペースで,小学生の下校時に,信号のない場所の見守りをしており,その際に下校する双子ちゃんに出会うのが楽しみになっていました。ただ,最近は6年生になって活動のためか,帰りが遅くなって,見守りをしている時間を過ぎているようで,会えないことが多くなっていました。
 夏休みの地域でのラジオ体操では,学校評議員としてという口実で参加しており,毎朝双子ちゃんの元気な笑顔と出会えて,さわやかな朝を過ごしていました。また,学校での公開の発表会には,評議員として招待を受けるので,出席していない祖父に代わって,写真を撮影してあげたこともありました。うれしかったのは,修学旅行のお土産として,小さなマスコット人形をいただいたことです。下校時の見守りで使っている横断中の手旗にぶら下げて,下校するときに双子ちゃんに見せてお礼を言ったこともありました。
 かわいい双子ちゃんが,この3月で卒業します。卒業式の招待を受けたのですが,残念なことに同じ時間に所用があって,出席ができませんでした。連れ合いが役職上で招待されているので,小学校まで送り届けて,用向きで出かけました。双子ちゃんの小学生最後の姿を見届けてやれないことが残念でしたが,仕方がありません。下校時に出会うということもなくなるので,ボランティア活動も寂しくなります。
 用事が済んだとき,卒業式の終わる頃合いでした。連れ合いには,ボランティア仲間が出席するので,帰りの便を頼むようにと言っていたのですが,間に合えば迎えに行った方がよいかなと,とりあえず小学校に向かいました。着いてみると,人の動きはなく,まだ終わっていない様子でした。会場の体育館のそばに駐車して,終わって連れ合いが出てくるのを待つことにしましたが,ふいと式をのぞいてみようという気になって,車を降りました。体育館の玄関は会場後方にあるので,土間まで入るると,中の様子が覗けます。
 静かです。式はどこまで進んでいるか耳を澄ませていると,「卒業生が退場します」という声が聞こえました。そのときです。思いもしないことに気がつきました。卒業生の退場は,一列に並んで,体育館から教室に帰っていくということです。つまり,土間に立っている目の前を,卒業生が通っていくのです。「おいで」。やってきました。私の姿をとらえてどうしてという目で見つめてくる双子ちゃんの一人にいつものように手を伸ばして,軽く握手,「おめでとう」と声をかけてあげることができました。クラスが代わって,もう一人の双子ちゃんにも,「おめでとう」と送り出しました。
 もしも,用事がなくて,招待者として参列していたら,双子ちゃんの姿は遠くから眺めているだけだったはずです。出席できなかったから,直接に声をかけてやれました。出席できなくてよかった,そんな思いになりました。実は,卒業式に出席ができないので,卒業式前の見守りの活動では,双子ちゃんと最後の出会いになると気負って待ち受けていたのですが,式典の練習があったためか,6年生の帰りが遅くて,見守り時間切れとなり,双子ちゃんの最後の見守りが適わなかったのです。双子ちゃんを最も良い形で送り出せた天の采配に感謝しています。
 元気でがんばって,双子ちゃん。ありがとう。どこかでまた会える日を楽しみしています。

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(2015年03月22日号:No.782)