家庭の窓
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毎年恒例のことながら,年度の切替えは慌ただしいものです。3月31日はお疲れさまでしたと過去形の挨拶を,明くる4月1日はがんばりましょうと進行形の挨拶です。組織では総会という特別の時間を設定して,年度の切替をセレモニーとして合意形成します。
ある地域の老人クラブの組織が,50周年を迎えたとして、来賓の紹介を受けました。年ごとに節目を経て重ねてきた50回,そのことにどのような意味を思い描くのでしょうか,記念の式典という特別の飾りを冠します。
50周年の例を近い時期で探すと,昨年10月,東海道新幹線が50周年でした。また長年日曜日の"夕方の顔"として高い支持を集めている『笑点』が,今年5月で1966年の放送開始から50周年を迎えるということです。
50年という感慨を身に引き寄せれば,若い時期を懐かしむことになります。自分の人生の中に50年がすっぽりと入っていると,そう長い年月とは思われません。例えば,若い頃には,50年は自らの人生の枠を遙かに超えているので,永いと感じていたことを思い出します。映画などで信長が「人生50年・・・」と歌って舞うシーンを見て,そう感じていました。感じ方というのは、人それぞれの物差しによるものとなります。
式典に招かれての挨拶が役回りです。まずは,お目出度いことへのお祝いの言葉から入ります。50年の間,数多くの方の努力で支えられてきたということは,これから支えていく努力を引き継ぐということでもあることをお話しつつ,今,期待していることをお伝えしました。
自助・共助・公助という3パターンに追加して,近助という言葉を紹介し,近くの方々が助け合うことを意識付けしました。ここまでは普通の話ですが,もう一つ踏み込んでおきました。お年寄りの世代は,「人様の迷惑にはなりたくない」という気持ちが強く,弱みを見せようとしない傾向があります。近助とは,助けるということだけではなく、助けてもらうということも大事であること,助けてもらう人がいないと近助は成り立たないこと,助けてもらっていいということ,それが老人クラブが目指す長寿を支援することになるとお願いをしておきました。
人を助けることは人として当たり前であるという義務的な意識だけではなく,人を助ける喜びがあってこそ,あまねく温もりが行き渡るはずです。助ける喜び,それを与えてやれるのは助けられている方からのありがとうの感謝です。感謝される喜びがあるのなら,感謝することが喜びを与えることができるはずです。人を喜ばせる力は,助ける側だけではなく、助けられる側にもあるのです。世の中はお互い様,そういうことを後世に伝えることが年長者の生きている意味と考えてみましょう。
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