《本当の 思いを伝え 読み取って》

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 文化協会という団体に所属する囲碁と将棋の組織が大会を開催し,来賓としてお招きを受け、挨拶をすることになりました。福祉組織の代表という立場で参加するので,少しばかり場の違いを感じてもいました。囲碁と将棋を伝統文化と捉えて文化協会の一員であるとすれば,文化の興隆を通じて地域のつながりを深めていくと,福祉の願うところにつながるという筋立てができあがります。かなり回りくどい関係ですが,これまでの流れですので受け止めなければなりません。

 囲碁は打つといいます。将棋は指すといいます。共に手を読みます。手を読むことで相手の思いを読もうとしています。最近電話詐欺が流行っていますが,そのような流行について行くことはありません。囲碁・将棋で手を読むという力を高めていれば,詐欺の繰り出す手練手管を読むことができて,相手の繰り出す手に乗せられることはありません。手を受けるだけではなく,手をはぐらかしたり,探ったりという,読む工夫もできるでしょう。
 ところで,相手の思いを読むことを良い方に向けると,たとえば,連れ合いの思いを読めば夫婦円満,親子の思いを読めば家庭円満,ご近所の思いを読めば近隣円満,地域の人の思いを読めば豊かな地域の関係ができあがっていきます。その円満な人間関係の構築が福祉の願いになります。碁石や駒に込められた手の内を読むことによって,言葉と違った会話をすることができます。察しというつきあい力が弱くなっている現在,察することから持ち出される思いやりも弱くなっています。
 空気を読むということが,KYという言葉で取りざたされたときがありました。文字や音による表現のほかに,人は行動・態度によって意味を表しています。その意味を読み取る力がなければ,空気が読めなくなります。この空気を読む,察するという力については,女性が優れているように思われます。そこで,男性の無理解が責め立てられます。自分と同じように察することができないのかと思われるのです。男性は言わなければわからないという言い訳をすることになります。

 挨拶は短時間ですので,前半を簡単に言葉にしただけです。挨拶は長いほど簡単で,短いものほど難しくなります。言葉を選び抜く必要があるからです。何かのメッセージを伝えようとするとき,あれこれ言葉を重ねるよりも,同じ言葉を繰り返す方が効果的です。今度の挨拶では「読む」という言葉を使いました。手を読む,思いを読む,読むという言葉でつないだことで,囲碁・将棋と暮らしがつながっていきます。功を奏したかどうかは,聞き手が判断することです。

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(2015年06月21日号:No.795)