《仕合わせは よい出会いした 人がいて》

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 夏の日差しの前の朝。ラジオ体操の会場周辺にそびえて涼風を送ってくれる木立。蝉時雨が降りてきます。家に帰ると,庭先の木から耳際に蝉の声です。毎年同じような風景が訪れて,知らずに歳を重ねていきます。
 夏の主役の一人,蝉が決まった鳴き声を聞かせてくれます。ところで,蝉は地中で育ち,地上に出てくるのは最後の年になります。命が尽きる季節としての暑い夏になります。短い夏の間に婚活のイベント,それが響き渡るオスの鳴き声です。子孫を残すために励んでいる夏なのです。その鳴き声をどこで見習うのかと考えると,その機会はないように思われます。地上に出てきてすぐに鳴き始めます。親蝉に教わるのは不可能です。6,7年前に亡くなっているのですから。
 オスは鳴くものということをどうして理解できるのか? メスは鳴かないと分かっているのか? 鳴くとしてどうすればいいのか,どういう節回しで鳴けばいいのか,そういう選択をきちんと成し遂げているのはどういう仕組みなのか? 本能的に,身体構造的に,唯一の鳴き方しかできないと考えるしかないようです。ところで,ウグイスは先輩ウグイスの鳴き声を聞いて覚えるそうです。学習する必要があるということです。
 人は多様な機能を持ち合わせています。どのように行動するかということは各自で選択できます。しかし,したことがないことはすることはありません。そこで,先輩がしていることを見習うことで,あんなことができるんだという気づきを得て,同じ行動ができるようになります。オオカミに育てられると,オオカミの行動をするようになります。どのような先輩と出会うか,そのチャンスによって自分の能力の発揮の仕方が選ばれてしまいます。どういう集団の中で育つか,そこで人の育ちが左右されています。
 人間がまず出合う先輩は親になります。親のするように行動する子どもになります。子どもを見れば親が分かるということが知られています。次がつきあう友人の影響を受けます。友を選ばなければなりません。そして大きくはどの国に生まれたかということに依ります。結果として,人は人生で出会ったすべての人から学んだ姿になるということです。今からでも遅くはありません。残りの人生でいい人に出合うように願いましょう。

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(2015年08月02日号:No.801)