《仕合わせは 文字に塗した 思いやり》

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 デンマークの幸福度研究所による調査の記事が目にとまりました。ネット交流サイトのフェイスブック(FB)をやめると,しあわせになれるというのです。FBは利用者が身近な出来事を文章や写真で投稿し合うものです。研究所によると,多くの人が他人の素晴らしい経験などの投稿をうらやむ傾向にあるとして,他人が何を持っているかを気にするようになると指摘しています。
 調査は,FBの利用を禁止するグループと継続するグループに分けて,1週間後に「生活にどの程度満足しているか」を尋ねました。継続グループは前後で変化がない一方,禁止グループでは点数がアップしました。
 実験後の気分を尋ねると,「幸福だ」,「人生を楽しんでいる」という割合も禁止グループの方が高くなっていました。逆に,「孤独である」という割合は継続グループの方が高くなっていたということです。FBでつながっている方が孤独を解消できるのではと考えていましたが,実は逆であるというのは面白いと感じています。つながりがあることによって孤独になるというのです。FBが人を孤独にするとは、逆説です。
 子どもたちの間でも,インターネットを仲立ちとするいじめが起こっています。男女関係においても,リベンジポルノという新事象が産まれています。このような悪意が蔓延るということは,FBの調査と重ねると,ネットという世界には,本質的に人のぬくもりは馴染まないと判断した方がよいようです。情報そのものには何の感情もない,無色無味無臭なものであるという事実に行き着くことになります。
 情報に感情を被せるのは,受発信する人の感性の働きになります。その際に,ネット情報はあまりに限定された情報でしかないということも考慮すべきでしょう。対面するときの言語情報には,声の調子や顔色や態度などの複合した情報があります。文字が主役のネット情報は,貧しい情報であるということです。その貧しさがFBによる孤独感を生み出している要因だと思われます。

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(2015年12月13日号:No.820)