《安らぎは 知らないことに 気付くとき》

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 第一生命保険が17日に発表した第29回サラリーマン川柳の紹介記事の最初に,「ましゃロスの 妻を救った 五郎丸」という川柳があげられていました。かつては講演などの枕に使わせていただいたので,毎年の川柳を楽しみにしていました。ところで,「ましゃロス?」と言葉が途切れてしまいます。意味不明? 未知の言葉です。川柳に登場するのですから,世間では27年の常識であるのでしょう。奥様方が気落ちすることであるのだろうと,川柳から推察されます。世事に疎くなっていることを思い知らされます。
 ネットで検索してみます。福山雅治という人が13歳年下の吹石一恵(33歳)という女優さんと結婚したことによって,女性ファンの方が喪失感に襲われた現象を表現する流行語のようです。福山雅治をファンは,親しみをこめて,愛を込めて「ましゃ」と呼んでいるのだそうで,そのましゃを失った,ロスしたということです。
 因みに,検索した中に,「イケメンがさらに"男を上げる"結婚というのがあるようで,それは,30代,またはバツイチ子持ちの女性と結婚するパターン。逆に,注目される男性が20代女性と結婚すると,女性たちに軽蔑されることが多いようです。33歳というこの絶妙な年齢。さすが福山さん。これがもし20代のモデルさんやアイドルだったら,かなりイメージが違ったことでしょう」とありました。そういうものなのか,適齢期を遙かに過ぎてしまっているせいか,感想が出てきません。
 「やってみた ゆう活憂鬱 趣味がない」。「ゆう活?」。また新語に出会います。日本国政府が推奨する「夏の生活スタイル変革」の通称であり,朝早くから働き始め,明るい夕方のうちに仕事を終わらせ,夕方からは家族や友人との時間を楽しむことを推進してワークライフバランスを実現し,国民が豊かさを実感できるようにすることを目的とする新しい働き方だそうです。政府広報オンラインで,「平日は無理・・・」と諦めていたことが、働き方次第でできるようになるかもしれません。日が長くなるこの夏、あなたの職場でも"ゆう活"してみませんか?,呼びかけられています。知らなかった!という気付きです。
 実生活の範囲が狭まっている中に入り込んでこない言葉は,遠くにあるということで聞こえていないのでしょう。「ましゃロス」という言葉を体感できる世代でなければ,よそ事としてアンテナに触れてくることはありません。新しい働き方の政府の提言など,聞く気もないので,聞こえてきません。こうして,世間の言葉からずれていきます。人は自分に関わる世界でしか生きていけないので,言葉の偏在は免れません。
 川柳という世間一般の実世界の言葉を垣間見ることで,自己の現在地を把握できることが,サラリーマン川柳の発表の楽しみです。つい見過ごしている知らない世界が側にあるという気付きによって,今いる場所の修正ができて,安心することができます。

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(2016年02月21日号:No.830)