《安らぎは 割り切れ無さを 受け入れて》

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 自然界は単調に動くことはないようで,季節の移り変わりも,温度面で上がったり下がったりの揺らぎを伴いながら,徐々に移行していきます。三寒四温という言葉で表されるように,人はどうにかして変動をつかまえようとしますが,実際は気まぐれに四寒六温になったりするので,予定が狂います。健康面でずれが生じると,風邪を引くことになります。年寄りは急には変われないという鈍さを抱えているのでなおさらです。
 四六時中といいますが,四六二十四とかけ算を思い起こせば,一日の時間であり,一日中ということのしゃれた言い方でしょう。ところで,今年は閏年で,2月29日を月曜に過ごしたばかりです。一日が正確に24時間ではなく,ずれがあるので,4年毎に一日の付加が必要になります。人が経験に基づいて決めた単位による計測数値は,自然に当てはめるとずれが出てきます。自然は人が創ったものではないからです。
 それでも普段の暮らしは,時計にしたがってきちんと進行していきます。人の形は丸や四角,三角ではありませんが,家や家具,器具類は四角型です。人が創るものは定規とコンパスで描く世界であり,都市生活は人工世界です。人が帯びている自然とは微妙にずれがあるので,疲れます。田舎の生活が幾分かはしっくりするのは,自然のものがそのままに利用されているからです。木のぬくもりという感覚が語られるのも,木が自然のものだからです。
 身体的には自然がなじむのですが,頭脳的には人工がすっきりと受け入れられます。アナログ感覚とディジタル感覚の共存と競合が,現代人の心身のきしみになっています。家族の情という自然と,個人の自由という人工がミスマッチを起こすと,家族内殺人という悲劇的破滅に至ります。その発生頻度が徐々に増加していることは,数字として把握されています。都市生活と田舎生活という選択をしているうちに,思い通りになる都市生活に馴染んでいる展開にかすかな不安を感じます。
 今,震度3の地震を感じました。慣れていないので,緊張で身を固くしました。心拍数が増えているようです。人が予定しているものではないので,自然現象そのものである地震は不安要素になります。天変地異という自然に抗えないという弱さを,こうして時に思い出させてくれるのは,自然の優しさなのかもしれません。自然の声に素直に耳を傾けて,生きる身構えを整えていきたいものです。

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(2016年03月06日号:No.832)