家庭の窓
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3月11日の毎日新聞の記事です。
大阪市立中の男性校長(61)が2月29日、全校集会で「女性にとって最も大切なことは子供を2人以上産むこと。仕事でキャリアを積む以上に価値がある。子育てをした後に大学で学べばよい」と発言していたことが、市教委関係者への取材で分かった。市教委は「不適切な発言」として処分を検討している。
今月初め、市教委への匿名の電話で発覚した。市教委の聞き取りに、校長は発言を認める一方、間違ったことは言っていないとの認識を示したという。
校長の発言を、校長自身は間違っていない、正しいと思っている一方で,大阪市教育委員会は不適切だと考えているということです。二者の見解がすれ違っています。見出しは,・・・<大阪市立中校長>「女性に大切…2人以上産むこと」発言・・・となっています。校長が発言という把握の仕方です。校長という立場の人の公の場での発言という問題提起です。街頭インタビューでの初老の男性による発言であれば,何の問題もないと見過ごされていることでしょう。そう思う人もいていいし,思わない人もいるということです。
校長は間違っていないと主張していますが,校長にとっては正論ですが,他者にとっては異論があり,間違っているということにもなります。私の正論が他者にとっても正論とはならないという,世間的な常識が通っていません。よく言われることは,学校の常識は世間の非常識であるということですが,その事例に過ぎません。だからといって,学校の常識があっていいということにはなりません。そのことの危惧が,不適切な発言であるとした教育委員会の見解であろうと推察されます。
教育の場として子どもたちに語ることは,子どもに考えさせる,選ぶ機会を提供することです。世間的には,キャリアを優先して,子どもは不要という傾向が主流のような状況であることを前提として,キャリアもいいが子どもを産むことも素晴らしいことであるという考え方を示すことは,不適切にはならないでしょう。ともすれば,教育を指導と勘違いすることがあります。この道が正しいと指して導くことも当然にあり得ますが,教育は選ばせて決めさせることが目標になります。
ところで,子どもが,学校で校長先生がこう言っていたと話してきたとき,親が適切なフォローをしてやれば,この件はそれで済むことです。指導するのは校長だけではなく,親もいるのです。子どもの周りにいる大人たちが,よってたかって子どもを育むという形が壊れていることを心配します。
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