家庭の窓
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田んぼに水が入り,カエルの合唱が夜中を通して響いてきます。水が入るまではどこにいたのかと,考えています。大合唱も慣れてしまうので,格別にうるさいということはなく,言われると聞こえてくるという始末です。田んぼには,水面から5cmほど頭を出している稲の苗が,多少ゆがんではいますが直線上に並んでいます。周りはすっかり住宅地になって,一面だけの田んぼがぽっかりと取り残されています。日を重ねていくうちに,緑一面の田んぼに様変わりしていくのも,毎年繰り返される風情です。
のどかな田園風景がそばにあると,気持ちが安らぎます.もちろん,自然の中で生きていく苦難もあるはずです。稲も,順調に成長していく予定ですが,風雨や日照の不規則さに惑わされるることがあるでしょう。時には,小さな人間の遊びが不慮の横暴さをもたらすこともあるでしょう。災難はついて回ります。しかし,稲が稲に害することはありません。植物や動物は,種の保存に関わる場合の排除を別にして,同胞の生き血を吸うことはありません。弱肉強食の非常さは異種間に働いています。
人の世界は理不尽です。電話口で言葉巧みに高齢舎を誘導し,現金をだまし取る偽電話詐欺の被害が1月から4月までの県内で2億円になったと報道されています。昨年と比べると減少しているそうですが,警戒しているのが,熊本地震に便乗した詐欺被害ということです。被災地への義援金名目の手口が増えるかもしれないというのです.人の不幸につけ込んで,善意をかすめ取ろうという浅ましい性根が,人にはあるようです。同胞の生き血をすする悪魔の所行を,人に見ることはおぞましいことです。
このような被害に遭う人の7割が,防犯講話や老人会の集まりに出席していないということです。近所からの声かけがない,孤立していることが,あくどさに対する感度をダウンさせているのでしょう。人間関係の安定さは社会を組み上げることです。社会の最小基本は3人です。2人では欲が絡んでこじれてきますが,3人目がいることで,抑制が機能します。家族も夫婦2人に3人目以上の子どもが結びついて,安定が得られます。最近は孤立化が家族にも浸透して,壊れているのは気になります。
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