家庭の窓
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朝の通勤途上の車中でラジオを聞いているときです。連れ合いが「普通こんなことは言わないよね」と同意を求めてきました。アナウンサーが「ちょうど43分になります」と言っているからです。43分がちょうどかどうかということです。秒単位で時刻を意識している放送世界では,0秒はちょうどでしょう。でも,普段の生活上では,ちょうどとはせいぜい30分単位でしょう。ちょうど2時半といった具合です。どう見ても,43分は半端です。
少し時間を大きくすると,月と日の重なる日ががちょうどでしょう。1月1日,3月3日,5月5日,7月7日,9月9日は,それぞれ特別の日と意識されてきました。1月7日は人日,3月3日は上巳,5月5日は端午,7月7日は七夕,9月9日は重陽で,五節句と言われています。因みに1月1日は節句としては外されています。特別な日として誕生日もあります。
さらに時間を伸ばしてみると,○十周年というちょうどがあります。セールの世界では1年毎ですが,組織になるとちょうどという気になるのはせいぜい短くて5周年刻みでしょう。この時間間隔は,暮らしの時間とずれています。暮らしの視野は前後1年の幅程度で,過去は去年のことまで,未来は来年のことまでなのです。社会生活上にどんなちょうどがあるかを意識することも大切です。
例えば家庭でアルバムや契約書などを除いた普通の書類を残そうと思う期間は高々数年でしょう。5年も前のものなど躊躇無く処分に回されます。そこで同好会などの組織で5周年の節目に記念誌を編纂しようとしても,誰も記念になるモノを保存していないという事態になります。5年先に今日を振り返ることがあるという可能性を意識できないからです。何らかの組織活動を運営する者は,5年先,10年先というちょうどの節目を意識して準備を怠りなく進めておく必要があります。
そう言えば,長寿のちょうどもありました。60歳が還暦,70歳が古稀,77歳が喜寿,80歳が傘寿,88歳が米寿,90歳が卒寿,99歳が白寿,100歳が上寿,108歳が茶寿,111歳が皇寿です。
結婚記念日では,25年目の銀婚式,50年目の金婚式が知られていますが,物の本によると15年目までは1年毎に記念日になっています。以降は5年刻みです。結婚について先人たちが抱いていた思いが感じられます。15年までは,1年1年が今年も記念日を迎えられたという喜びに包まれ,15年続けば,あとは慣れっこになって5年が節目となるようです。夫婦は15年続けば落ち着くということでしょうか? 夫婦にとって15年は大きなちょうどになりそうです。
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