《絶対と 甘い誘いに 騙される》

  Welcome to Bear's Home-Page
ホームページに戻ります

家庭の窓にリンクします! 家庭の窓

 さんまのトーク番組で「信用できない言葉」というテーマに応募した視聴者からの言葉が紹介されていました。たまたま耳にしたものは,妻の言う「絶対怒らないから」でした。さんまに大受けのようでした。夫族の嘘を敏感に嗅ぎつけた女房族が自白を迫るときの常套手段と認識されているようです。
 女性の出場者からは,その言葉が出るときはもう既に何を言われても夫の言葉を信用する意志はないとコメントされていました。相当に怒っているそうです。ではなぜ怒らないと言ってわざわざ白状させるのか,意味がないのではという反論が男性陣から出されました。本当のことがやはり知りたいからという返事でした。男性側の結論は絶対嘘はつきとおすということのようでした。
 かなり以前から若い女性が「ウッソー」という相づちを使うようになりました。それまではどうだったかというと「ホントー」だったように思います。女性の会話の世界にはどうもウソとホントが混在しているようです。男性の場合は「ソオー」と素直に受け止めるのが常道です。
 女性の方が疑い深いということかどうか早急には判断できませんが,会話を楽しむという面では効果的です。ウソもホントも「信じられない」という驚きの表現になります。聞き手が驚いてみせると,話し手は話しがいが出てきます。信じてもらうためについあれこれ詳しく話そうという気分になります。ところがソオとあっさり受け取られてしまうと,拍子抜けして,ホントに聞いてくれているのかなという不安な気持ちになります。どうしても会話はとぎれがちになります。
 男は無口,女は饒舌というのが通り相場でした。男は必要なことだけを話せばいい。だから言葉の虚飾などはいらない。話す言葉にはウソはないということでしょう。一方,女は井戸端会議風におしゃべりに興じるので,かなりの虚飾が入り込むようになり,愚にもつかない話になると男どもは査定してきたようです。
 うわさ話が当てにならないのは,その場限りのおしゃべりを楽しむためにちょっとした脚色をしてしまうためです。携帯電話網は新世紀の井戸端会議です。若者が新しい形式のおしゃべりを始めました。メールによるチャットも井戸端会議と説明されています。おしゃべりは虚実が混在しています。信じられないという前提が自己防衛として必要になります。
 おしゃべりしかしていないと,何が本当か分からなくなりますし,気疲れします。そこで確実なものを求めようとします。そのせいでしょうか,女性は「絶対」という言葉がお好きなようです?

(2001年11月25日号:No.86)