《安らぎは あれこれ聞いて じっくりと》

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 2016年度の新聞広告コンテストで優秀賞を獲得された作品は,「言葉がつく嘘」という題目の次のものです。

新聞コンテスト優秀賞作品です (→ http://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2016/no2_b.html )
 制作者の宇崎弘美さん(電通)の制作意図は,「子供のころから、「みんなが言ってたよ」という言葉に怖さを感じていました。「みんな」って本当に「みんな」なのでしょうか。言葉がたまにつく嘘に、おびえないでほしいと思い作りました」ということです。

 普段から意識しているポイントであり,そうだと躊躇することもなく同意してしまいました。皆と同じであろうとする風潮の中で,どこからか押しつけがましく言われる言葉です。なんとなく同じように考えたり従ったりしないといけないかな,と思わせられることに反発しています。もちろん,皆の言うことと自分で考えることは違ってもいいのですが,ちょっとした言い訳と勇気が必要になります。
 ゲスの極みの男や東京都庁の無責任さが取り沙汰されていますが,それも「みんなが言っている」ことと受け取ってしまいます。マスコミはごく当たり前のようにみんなの立場に置かれます。報道としては多様な意見や言葉を提供して偏向しないことが基本でしょうが,一方で公的な機関の監視役としての立場に固執することも必要でしょうし,一団体としての独自個別の主張も求められることでしょう。その辺のことを弁えて,マスコミと接することです。
 「みんなが言ってたよ」という言葉は,あなたは少数派ですよという忠告であり,非難にもなります。ものすごく優しい様子を騙った命令でもあります。自ら従ったと錯覚させる手管です。言った方は命令や強制ではないので責任を免れます。言葉そのものが嘘であると同時に,言葉でつながっている人間関係も嘘になります。嘘につかまらないためには,みんなは決して一つにはなれないという事実を覚えておきましょう。ああいう人もこういう人も合わせて,みんななのです。

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(2016年10月16日号:No.864)