《安らぎは 数量を知り 余裕持ち》

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 手元のメモをある感慨を持って読み直しています。2014年,47,325人が体外受精で生まれて,その割合は21人に1人だそうです。およそ5%ということで,そんなに多いのかという思いです。生後1か月以内に亡くなっていく赤ちゃんは,年間2万3千人もいるそうです。赤ちゃんは生まれたら健やかに育っていくものという思い込みが崩れていきます。さらに全妊娠の15%が流産となっているそうです。めでたく妊娠しても,子どもに育つまでには,まだまだ難関があるのです。今の医術レベルであっても及ばないことの大きさに驚かされます。赤ちゃんは自然に生まれてくるというものではないようです。
 事象の起こる割合を数字で表してもらうと,思考が適正な揺れに収まって,判断を誤ることが少なくなります。「今の世の中,体外受精がかなり多いようだ」という説明であると,人によって見積もりが異なって,後に続いていく論議はかみ合わなくて着地できなくなります。最近聞こえてくる話が,つまらなく思えることがあります。ついて行けないのです。難しい話ということではなく,ただの思いつきを展開したり,一事が万事という推論が確定的に語られていたり,信頼が置けないからです。
 技術畑では,数字が伴わない議論はあり得ません。車のブレーキは走っている車を停止するものですが,踏めばすぐに停止するというブレーキは危なくて使えません。衝突と同じ状況になるからです。速度に応じた制動距離というゆとりが必要なのです。ただ止まればいいということで考えてはいけないのです。あらゆる分野で思考が現実的であるためには,許容範囲を定義する数値が求められます。先の数値で見たように,発生割合や確率を前提にすることによって,現実的な考察が可能になります。
 味方でなければ敵であると考えるディジタル思考が強まっています。例えば,知らない人は皆悪い人,そのようなゆとりの無さは,暮らしを窮屈にするのではなく,暮らしを不可能にします。知らない人の世話になっているのが,今の暮らしだからです。知らない人は皆同じに普通の人として信じられる人なのです。もちろん悪い人がいないと考えることは現実的ではありません。悪い人の割合は,警察の発表で知ることができます。

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(2016年12月25日号:No.874)