以下は引用です。
******************************************************************
150年以上の歴史を持つ英語辞書の権威、Oxford English Dictionary(オックスフォード英語辞典)が、2016年を象徴する「Word of the Year」(今年の単語)を発表しました。選ばれた単語は、post-truth です。
今後の世界情勢にも大きく影響するに違いない、イギリスのEU離脱、アメリカ大統領選挙といった出来事が念頭に置かれたキーワードと言えそうです。
Word of the Year とは
「Word of the Year」(今年の単語)とは、1年間を振り返って、その年を最もよく表している単語のことです。オックスフォード英語辞典の編集者らが、毎年1単語を選出しています。その年の思潮や雰囲気をうまく捉えているもの、もしくは、その年特有の関心事などが選ばれるようです。
今年の言葉はpost-truth
post-truth を訳するなら「ポスト真実」か
2016年度を最もよく表している単語として選ばれたのは、post-truth でした。「世論を形成する上で、客観的な事実が重視されず、感情や個人の信念に訴えることの方が影響力を持ってしまう状況」を表す形容詞です。日本語では「ポスト真実」と言われたりもします。
post-truth が選ばれた背景
オックスフォード英語辞典の編集者によると、2016年度における post-truth の使用頻度は、2015年度に比べておよそ2000%増加したそうです。特に、イギリスのEU離脱とアメリカの大統領選で使用頻度が急上昇したことが指摘されています。
post-truth は、多くの場合「post-truth politics」というフレーズで使われています。The New York Times の記事中にも「We have entered an age of post-truth politics.」(我々は「ポスト真実」の政治時代にいる)という文章が出てきました。
イギリスではEU離脱の国民選挙の際に、アメリカでは次期大統領選の際に、客観的な事実を提示するよりも、個人の感情に訴えるような政治手法が用いられました。それを指して使われていたようです。
客観的な事実よりも個人の感情が優先されるのであれば、世の中の様々な社会問題、経済問題、環境問題などの解決がより困難になることが、懸念されています。
(以上:https://eikaiwa.weblio.jp/column/knowledge/tourism/word-of-the-year-2016 より)
******************************************************************
今年の漢字という催しがあることは知っていましたが,英語でも同じイベントがあることは知りませんでした。
世の中が大きなうねりとして動いているように感じていましたが,地球規模のようです。アメリカファースト,都民ファースト,アスリートファースト,勝手にファーストと言いつのって,何となく今までとは違うと見得を切って一時の注目を集めているように見えて,過半数が巻き込まれているために,現実の状況が動いてしまって,想定外と全ての人が驚いています。
論者が,脱真実,脱民主主義,ポピュリズム,収縮の時代の排他的病理,暗澹たる未来,といったキーワードを提示してくれています。人は本能的に自己保存に動き,己ファーストで考えるものです。そこに,自分のことは後回しにするというやせ我慢の哲学を掲げることで自制を可能とし,かろうじて他者との関係を友好的に保ち共存社会を築いてきました。己ファーストを声高に宣誓し,それこそが時代の第一価値であると思い込み,自制のブレーキを解放してしまうとき,欲望の雪崩が人間社会を席巻することになるでしょう。
話せば分かり合えるという対話を打ち切って,勝手につぶやくことで自己表現するしかできない愚かしさは,無理解ではなく不理解をまき散らし,新たなバベルの塔を招き寄せることになります。話が通じないということの恐ろしさを,恐喝,恫喝という一方的な言語の悪質さを,早急に思い起こさなければなりません。
どうしてこのような状況を招くようになったのでしょう。情報伝達のスピードが人智の処理能力を凌駕し,あれよあれよと流されて,何事も即座に対応することが当たり前と思い込まされています。じっくりと取り組むのではなく,全てがファストであるべき,その性急さが,手間暇のかかる共存などまっぴらという選択をしているのです。人の能力で扱える規模と機能を越えた社会が生まれてしまい,コントロール不能に陥ろうとしています。歴史の揺れが戻るためには,多くの人の犠牲が必要になるのでしょうか? 今の状況を乗り越えていく新たな知恵が生まれることを信じることにしましょう。