《安らぎは 互いを生かす 分かち合い》

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 郷に入っては郷に従え,という言葉がありました。人の移動が活発になっている今,そのような面倒なことはごめんですということがまかり通っています。良いか悪いかということは,物差しによって変わるものであり,妥協ができるところで収まっていくものです。
 隣組合に行政から配布物が届けられます。月毎に当番を決めているので,組合長から回覧と一緒に当番さんに届けられます。回覧は回り終えるのに日数が掛かるので,配布物がある場合は当番さんが組合のお宅全部に配ってしまうように申し合わせています。お知らせなどが手遅れになるかもしれないという理由です。配るといっても,ご近所の10数軒の郵便受けまでですから,小一時間もかかりません。なのに,転入されてきた方は,配布物を配ることなく,回覧と一緒に回そうとされます。
 校区のPTAの集まりなどで,続けてきた活動に対して,前に住んでいたところではそのような活動はしていない,意味がないので止めるべきであるといった提案をされます。それを聞かされた皆さんは唖然とします。あなたが前にいたところでは意味がなかったのでしょうが,あなたは今はここにいて,ここでは意味のあることなのです,と言い返す人はいません。物事にはTPOがあることを弁えていないと,共生はしづらくなります。押しつけは嫌だと逃げるしかできなくなります。
 大学が転出して空き地になったところに,開発が進んで高層ビルが建っていきます。いきなり隣接地にビルの壁が迫ってくることになる旧住民の方は,戸惑っています。地域の指定が居住専用ではないために,法的には問題はないということです。自分の都合だけを押しつけてくる侵入者,そのようなイメージが語られていました。悪くはないからしてもいいということですが,してもらうと迷惑だということはやめた方がいいということもあります。
 待機児童が増えていくので,保育園を新設しようとしても,近隣の住民の反対で実現しないという行政の嘆きもあります。騒音や朝晩の交通混雑の忌避が求められるのです。待機児童を無くしたいという思いと閑静な環境の保存という,全く異なる思惑がすれ違っているので,対立を回避し解決することは可能です。
 郷に入っては郷に従え。それは郷に入る際には,まずは郷の有り様を尊重して,続いてお互いの共生の道を探っていくということの勧めです。問答無用と入り込まれては,迷惑ですということです。自分の思いがあると同じに,他者にも思いがあることを尊び,お互いの思いを摺り合わせようとする謙虚さが,事を成し遂げていく方途です。ぶつかるのは,猪突猛進に進むからで,一旦待ちの状態に留まれば,決してぶつかることはありません。

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(2017年05月21日号:No.895)