《安らぎは 暮らしの変化 気にしつつ》

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 サンマの漁獲量が減っているそうです。資源が有限の中で,他国の漁船が先取りしているということのようです。同じ魚を食べる人が増えてきたので,一人あたりの量は減るのが当然です。国際化の進展は,情報のみならず,工業製品のみならず,食料についての共通化を促します。米や小麦,トウモロコシ,ジャガイモ,さらには牛肉,豚肉,そして魚肉が皆の食料になっていきます。それは,食の選択肢が減ることです。少品種大量消費です。
 大量生産をするためには,優良品種に頼ることになります。しかし,人が改良して作り出した品種を自然な受粉ではなく,挿し木や種芋などで増やしているものは,自然では無理な生育を強いられることもあるでしょう。ひ弱なものとなれば,害虫や病原体などのきっかけで全滅するという弱点を秘めています。
 エネルギーの電気が止まれば,暮らしのすべてが止まってしまうという危惧は,時折停電することで経験して知っています。しかし,食料の世界の単一化の危惧は,あまり気にしていませんでした。多様性という状況を維持していくことが必要になってきます。生産性や再現性といった効率を求めて今の状況になったのですから,多様性に向かうことは流れに逆らうことになるでしょう。暮らしは手間暇がかかるものという原則を忘れた頃に,災いが訪れるものです。
 たくさんの残飯が廃棄されているという現実があるということです。有り余るということが豊かさではありません。きっちりと腹八分に加減することが豊かさです。栄養面では,多様性が求められますが,それは地産地消の多様な食材によって可能になります。世界中から珍しいものを取り寄せる多様性ではなく,身近にあって見過ごされている多様性を取り入れることで健康を確保する方が本当の豊かさとなるでしょう。
 スーパーに買い物に行くと,見知らぬ食材が並んでいます。香辛料もどんな味なのか分からないものがほとんどです。時代に乗れずに,豊かではない生活をしているなと思わされます。一方で,子どもの頃になじんでいた食材が見られなくなっています。おいしくないので売れないのでしょうか,生産に手間が掛かるからでしょうか,それとも一定の品質がそろえられないからでしょうか,流通の効率も食材を選別しているのでしょう。昔のように,小売りの八百屋さん,お肉屋さんであれば,効率が良くなくて値段も安くできないでしょうが,手厚く育てられた身近なものを提供してもらえるのかもしれません。

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(2017年09月24日号:No.913)