《安らぎは 誠を信じ 一筋に》

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 2017ユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞は「インスタ映え」と「忖度」ということです。トップテンの中で,個人的に気になった流行語は,「睡眠負債」,「フェイクニュース」,「○○ファースト」ぐらいです。ファーストといえば,レディ・ファーストという言葉が思い出される世代には,今年の○○ファーストには違和感がありました。自分ファーストを当たり前として,あえて口にしてこなかった慎ましさをかなぐり捨てる浅ましさを感じてしまいます。
 フェイクをまき散らし,あたかも世間の風潮であるかのごとく先導する軽薄さを狡猾と勘違いする不穏分子の徘徊も目障りです。リテラシーの出番と言われたりしますが,情報アクセスが個人の好み・偏向に依存している状況では,飛んでい火に入るなんとやらで,絡め取られていきます。あえて気に入らない情報にアクセスする心がけを発揮できなければ,中庸な判断をすることはかなわないでしょう。
 インスタ映えも,ただの自慢心の見せつけになりかねません。ほんの一瞬,たまたまの一品,偶然の一瞥など,常態ではない状況を切り出してみたところで,生きることへの映えとはなりません。「イイネ」という共感を無理矢理求めていると感じてしまうと,疲れてくることでしょう。イイネという共感は,同じ場所にいて同じ瞬間に交わされるべきものです。インスタグラムで押しつけられた状況は,一瞬のイイネで通り過ぎていくでしょう。
 睡眠負債という言葉はこれまでに出会ったことのない言葉でした。眠るべき時間を削って起きていると,眠り時間が不足して,負債として蓄積していくということでしょうか。それは永遠の眠りを早めることで帳尻を合わせることになるというのであれば,とても恐ろしいことです。今のうちに少し眠りを使っていた方が,永遠の眠りを先延ばしにできるのであれば,そうしたいものです。
 忖度という古めかしい言葉が妙なきっかけで飛び出してきました。身過ぎ世過ぎの流れの中で,大小の忖度が交わされているはずです。連れ合いのご機嫌を損なわないようにする家庭内忖度もあるでしょう。騒音や駐車などの迷惑をお互い様とするご近所間忖度,時代的感性の違いに対する世代間忖度,お客様第一という商業的忖度,それぞれが納得できる状況を実現しようとする暮らしの知恵です。ところで,その忖度を自分勝手な根回しに悪用すると,それは悪知恵になります。そんな簡単な理屈を間違える大人がいるのは,恥ずかしいことです。

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(2017年12月24日号:No.926)