《喜びは 悩み聞き取る 優しさが》

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 気になるニュースに出会いました。イギリスのメイ首相が「孤独担当大臣」のポストを新設したということです。「多くの人にとって,孤独は現代の生活の悲しい現実です。私はその現実に立ち向かい,我々の社会や高齢者や介護者,愛する人を失った人々−そして自分の考えや体験を話したり分かち合う相手のいない人の孤独に対して,行動を起こしていきたい」とメイ首相は語っています。
 イギリスの調査では,身体障がい者の4人に1人は日常的に「孤独」を感じており,18〜34歳の中では3分の1以上になっており,子どもを持つ親たちの4分の1が常に,もしくは,しばしば「孤独」を感じているそうです。400万人以上の子どもたちが「孤独」を訴え,チャイルドラインの支援を受けたとの結果もあります。
 「最も大きな苦しみは,やはり孤独です。愛されていないと感じることですし,だれ一人友がいないということなのです」と,マザーテレサが語っています。誰も気に掛けてくれない,その思いは絶望感につながっていきます。生きづらさは,安心を打ち消していきます。
 文科省と厚労省は,自殺する子どもたちへの対策として,SOSと言える教育を推進しようとしています。後になって周りの人の後悔は,どうして一言言ってくれなかったのか,一言言ってくれたら力になれたのに,というものです。孤独は,その人のつながりを喪失しているということです。
 この情報社会の中で,不思議なことに失われているのは,人のつながりなのです。誰とでも友達になれるのに,生きていく上で必要な人間関係は結ばれていません。昨年の流行語に「インスタ映え」というものがありました。そこでは,人に自慢できるところ,いいところを見せ合うという付き合いです。自分の弱点や悩みを打ち明けられるような温かなつながりはあり得ません。
 孤独は,何か行き詰まっている人には,真っ暗闇の世界です。生活困窮という目で見ると,その状態は「人間関係の貧困」ということができます。そこに気に掛けてくれる人がいると,一筋の明かりが差し込みます。「助けて」と言える人がいると,救われます。気に掛けてくれる人とは,「ありのままのあなたでいい」と受け入れてくれる人です。つらいときはいつでも声を掛けていいよ,そういう「人間関係の富裕」を実現することが,幸せネットワークの基盤です。

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(2018年01月28日号:No.931)