《喜びは どうぞの思い 送り出す》

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 議員が会合で発言,謝罪。その手の記事が幾たび登場するのでしょう。今度は,「結婚しない女性他人の税金で老人ホームに」と見出しがついています。記事を拾い出すと,「結婚する意思がない女性に対し『結婚しなければ子どもが生まれないわけだから,人さまの子どもの税金で老人ホームに行くことになる』と告げていると話した」。個人の自由であるはずの結婚,出産を強要していると受け取られかねず,セクハラと言われるとの声が続出しているとのことで,発言について謝罪し,撤回したということです。
 社会の運営に責任を負うはずの議員でありながら,社会機能を理解していないことを恥ずべきです。子どもを生むのは女性だけではなく,男女がそろって可能です。さらには,社会資本には,若いときに負担していた社会貢献の戻しを年老いて受け取るという面もあります。実際の社会の貸借は複雑に組み上げられているので,個人としての直接的な勘定はあまり意味がありません。普段の暮らしでは,誰もが支払った社会負担以上のものを受け取っているから,国は赤字なのです。
 前にも触れたと思いますが,恩送りという言葉があります。人様から恩を受けたら後でお返しをするという恩返しでは,恩を与えた人と受け取る人が同一人です。その直接的な互いのやりとりに限ると,広がりません。そこで,恩を与えた人と受け取る人が違うという関係も想定します。ご恩を与えてくださった方が,恩返しの前にいなくなったら,恩返しができません。そのときに受けた恩を側にいる人に与える恩送りは,一つの恩をリレー式に送っていくという発想です。その先で恩返しをすべき人に行き着くということです。
 社会生活をしている人は,人を介してつながっています。その理由は,人のつながりにより恩が送られていくことで社会生活の温もりが成り立っているのです。もちろん送られる恩の形は変わることでしょう。それでいいのです。結婚せずに社会生活の中で恩を繰り出していれば,めぐり巡って老人ホームでのお世話を受け取ってもいいのです。恩返しという個人的な関係だけでは社会生活はごく狭いものになります。親から受けた恩を子どもに送っていくというのが,親子であったはずです。

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(2018年05月13号:No.946)