家庭の窓
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若い女性を拉致して命を奪って埋めるとか,新幹線の隣の座席の女性にナタを振り下ろすとか,幼い女児を虐待した揚げ句命まで奪うとか,信じられない事件が報道されています。身近に何事もなく暮らしている人が,突然豹変するように思われますが,実のところ,それなりの経過があるようです。日頃の暮らしの中で道ですれ違う知らない人を疑ってはいませんが,どのような思いを抱いているのかと注意しなければならないのでしょうか?
新聞のコラムに,詩人の吉野弘という方の作で「脳も胸も,その図らいも,凶器の隠し場所」という言葉があると載っていました。一瞬意味が分かりませんでしたが,字をじっと眺めていると分かりました。脳の字,胸の字の中に凶という字が含まれています。悩みという字にも凶があります。人は脳で凶を考え,胸に凶を抱き,心で凶を悩んでいるのです。では,図らいとは? 凶の字に二つの点を振りかけて上から蓋をして隠せば,図という字になります。
人は身も心も凶に塗れていると気付かされて,驚きます。人を見たら泥棒と思えという言葉を突き抜けて,人は凶器を隠し持っているという先人の申し送りのようです。他者に対する警戒ではなく,にくづきの部首の字の中に忍ばせてあることから,自らの凶に気付くように仕掛けられています。ところが,胸の字では凶はしっかりと蓋で封じられていますが,脳と悩では,凶の上に小さな3つの点が乗っているだけです。頭や心からは簡単に凶が抜け出してしまいそうです。
以上は,漢字の成り立ちとは全く無関係な話なので,もちろん何の根拠もありません。ただ現在の字を見たままに当てこすっただけです。自分を戒めるまじないとして,使ってみようとしているだけです。笑ってください。
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