《喜びは 気持ちに余裕 まあいいか》

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 ボランティア仲間と小1時間ほど懸けて地域の防犯夜回りをしています。近頃の季節では日が長いので,夜に歩いている人に出会います。散歩であったり,帰宅途中であったりの様子ですが,すれ違う際に,こちらから「こんばんは」と挨拶をします。顔見知りの人は笑顔で挨拶を交わしますが,馴染みではない方はなんとなく「こんばんは」と返してくれます。ところが,挨拶を返してくれない方が時々おられます。声かけた挨拶が虚空に迷ってしまいます。
 「挨」という漢字はもともとは「打つ」とか「押す」とかいった意味であり,「拶」は「近づく」「進む」という意味を持っています。そこで、「挨拶」は「押して進む」「押して近づく」という意味の熟語になります。こちらから押しつけるのですから,押しつけられる方が,受けるか受け取らないかを決めることを強いられます。予期しない決定をするつもりはないとなれば,スルーされて,返礼はありません。
 こちらが勝手に押しかけているので,スルーされても仕方がありません。きちんと挨拶を交わすべき状況なら,返礼無しは無礼になるので,怒りを引き出すでしょう。たかが夜回りのボランティアが投げかける挨拶ですから,スルーされても,「まあいいか」と済ませています。ボランティア用の上っ張りを着用しているとはいえ,夜中に通りすがりの男たちにいきなり挨拶をされても,戸惑うこともあるでしょう。昼間でも,見ず知らずのすれ違う人は無視しているのですから,夜はなおさらです。
 挨拶は,あなたのことを気に懸けていますよ,というメッセージです。挨拶をしないのは,あなたのことなど意に介していません,無視していますというメッセージになります。同じ地域に住む者として夜回りをしていると,大丈夫ですよ,大丈夫ですか,お帰りなさい,お疲れ様というメッセージを込めて,挨拶を勝手に届けています。返礼のあるなしは関係なく,同じ夜道を共有している者がいるということを知ってもらえばいいのです。
 寒さに震え暑さに汗をかき,何の見返りもない夜回りをするのは,一応地域の安全のためという目的を掲げてはいますが,物好きでやっていることになるのでしょう。明るい窓から漏れてくる団らんをただ見守り,ひとり暮らしのお年寄りの家の明かりを確かめ,地域の家の取り壊しと新築という変遷を横目に歩いているだけです。強いて言えば,余録として歩くという軽運動をしていることになっています。生活の余裕,遊びというブレを楽しんでいると言っておきましょう。
 思い通りにならないことも,「まあいいか」。何の見返りがなくても,「まあいいか」。多少の面倒なことでも,「まあいいか」。気構えの余裕を持ち続けたいものです。

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(2018年07月15号:No.955)