《おもしろい 話は所詮 他人事》

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 窮すれば通ずということわざは生きているようです。節約主婦の暮らしの知恵は大したものです。「使っても減らないお金の使い方」を実践している方がテレビで紹介されていました。
 金券ショップで1000円の金券を900円で購入し,スーパーで100円以下の買い物をし金券で支払います。すると900円ほどのお釣りが返ってきます。その900円でまた金券を買います。これを繰り返せば,何回買い物をしても900円は減ることはありません。いかがですか?
 おもしろい話題として,夕食の場で連れ合いに話して聞かせました。即座に帰ってきた答えは,「近くにあればいいけど」でした。次が「金券がどこでも使えたら」でした。さすがに暮らしを背負っている主婦の直感は鋭いものです。
 実は,連れ合いに話す前に,このうまい話の条件を考えていました。金券ショップとスーパーがせめて自転車で行き来できる距離のところにあるという条件は必要でしょう。交通費を払っていたらこのループは成り立たなくなります。考えるまでもない当たり前のことですが,話を聞いてすぐにそこに気がつく早さに感心させられました。
 この早い切り返しはどのように生まれるのでしょう? その秘密は自分のこととして考えるということです。言い換えると,自分が実際にやってみる立場に立って話を受け止めると,近くに金券ショップがないことに気がつきます。だから即座に「近くにあればいいけど」という答えになります。
 買い物にまつわる話ですから,自分のこととして自然に受け止め,話の成り立つ条件まで一気に見通すことができたわけです。もしも他人事だと思って話を聞けば,なかなかうまいことを考えたものだと感心するだけで終わってしまうでしょう。
 このやりとりは夫婦の会話としては,微妙な内容を含んでもいます。連れ合いにとっては「人様はこんなにして節約をしているんだよ」という嫌みに聞こえかねないということです。私にそれを求められても,「近くにないからしようがないでしょう」という言い訳しか言えなかったという状況もあり得ます。もちろん,話す方には露程もそんな気はありませんが,聞く方とすれば買い物担当者として話し手の意図を読み過ぎてしまうこともあるでしょう。
 何気ない会話が相手の気持ちをチクッとさせてしまう,そんなつもりはないのに,そんな小さなすれ違いはどこにも起こりえます。夫婦の間でも気をつけておいた方がいいでしょう。少し反省しています。

(2002年02月03日号:No.97)