《喜びは 生産しつつ 分け与え》

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 夏目漱石は49歳で没しています。ところで,TOKIOの城島茂は47歳です。いわゆる大人の貫禄という目で見たとき,同じほどの年齢とは思われません。今の大人は見た目の若さがあるのでしょう。還暦60歳はお年寄りではないというのが今の常識でしょうか?
 見た目が若いとか,気が若いとか,それが良いことみたいですが,立ち居振る舞いや知恵が幼いのは如何なものでしょう。少子化は若い人が出産しないからと言われますが,実は若い人が結婚しないからです。女性の結婚年齢が昭和には25歳,今は30歳だそうです。結婚しないのでは出産もあり得ません。かつては結婚すると一人前という思い込みがありましたが,今は逆の一人前になってから結婚するという状況になっているのかもしれません。
 結婚という試練を二人で乗り越えていく経験が大人になるプロセスと考えていた時代から,成熟した大人が結びつくゴールとして結婚を意識するようになった今,結婚をゴールとして選ばないこともあり得るようになりました。人生における必須のプロセスではなくなったのです。その傾向を人が消費者になったという論で説明する向きもあります。結婚は生活の様式が生産と消費の連携になるので,自分だけの消費が許されなくなります。
 大人振りが軽くなっていることと,消費者化とはつながっています。大人とは生産者として周りに豊かさを分け与える力を発揮している人です。周りから豊かさを奪っているだけの消費者は,社会的には幼いとみなされます。一人で暮らすと,身近に豊かさを分け与える対象がいないので,日常的な大人の振る舞いが無用です。豊かになったという社会では,消費することが優先されるために,人の生き方が偏向していくことになります。栄えた社会が衰退していく歴史の教訓は,今の世代にもじわりと効いているようです。
 ○○ファーストという時代は,まさに消費する立場の宣言です。共に豊かになっていこうという生産する気概の衰退です。奪い合って消費していく結末は,悲惨です。

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(2018年11月11号:No.972)