《ちゃんとして 妻の私が 笑われる》

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 今年度,順巡りの当番で159世帯ある町内会の世話役を引き受けていますが,もうすぐお役ごめんになります。報われないお役目の慰労の意味で,同じ世話役一同で一泊二日の研修旅行に出かけました。年間1万5千円のお手当から会費を払って,レンタカーでのお出かけでした。
 二日目の見学旅程はあいにくの雨模様でした。最初の予定地で車を降りるときは曇っていたので,短時間のことですから傘を持たずに行くと,途中で濡れるほどの雨に遭いました。二番目の予定地に向かう車中の行程は日が差して来て,降りるときに傘は不要でしたが,念のためにと持参すると,案の定,帰路は雨でした。
 このパターンが3回続き,最後の見学のときです。「2度あることは3度ある」とはよく言われますが,「3度あることは4度ある」のではと皆で傘を手にして苦笑いしたものです。実際,4度目の帰りは土砂降りで,車中にはいると嘘のように日差しが降り注いできました。
 雨に濡れた服を見ながら,おろしたての服が濡れてしまったと話している同行のおじさんがおりました。普段は着るものには頓着しないそうですが,この旅行のために奥さんに数軒の洋服屋さんを引っ張り回されてスーツを買ったそうです。服なんかどうでもいいと言っても,そんなわけにはいきませんという奥さんの声が強かったようです。
 「あなたがちゃんとしていないと,私がいろいろ言われるの,と言われたでしょう」と話すと,「そうそう,あそこの奥さんは旦那さんの面倒もきちんと見てやらないと言われるそうですよ」と笑っていました。
 いずこも同じだなと皆でそれぞれの奥さんを思い出しながら,奥さん同士の世界にそのようなことを気にしている雰囲気のあることを面白く感じていました。家庭の主導権を担っている責任が,旦那さんの格好にまで及んでいるということです。子どものように面倒を見られている旦那さんたちは,そのかかあ天下ぶりに甘んじることで,夫婦円満を実現しているのでしょう。
 服装へのこだわりがある若い人たちには,たとえ奥さんであっても口出しは許さないという雰囲気があるようです。自分の趣味を譲らないアイデンティティなのでしょうが,何かを相手に委ねるところがないと,つながりは生まれません。もちろん,丸抱えでは困りますが,お互いに相手のために気配りをしてやれることがあるということは大事でしょう。
 世話の焼ける幸せな男たちを乗せた車は,家が近づくにつれて青空の下を走っていました。

(2002年02月17日号:No.99)