家庭の窓
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秋から冬の寒い間はすっかり葉を落としてまるで枯れ木の態を見せていて,側の田んぼに朝夕の決まった時間に食事にやってくるスズメたちを迎える止まり木になっていました。春になって,サクラの花があちこちで咲き誇っているのをそれとなく察しながら,花海棠は自らの花を季節に沿って咲かせてくれました。
今年はちゃんと咲いてくれるかな,と窓のすぐ側にある木をスズメたちと一緒に気にしている日日が報われました。いらっしゃいという迎えの気持ちが伝わればといいのですが,勝手に愛でていることになっているのでしょう。
精一杯の花が咲いた後,冷たい風がさよならの挨拶をするように促して,花びらは散っていきました。一週間ほどの心が満たされる再会でしたが,また来年に向けた時計が始動することになりました。季節が巡りながら,命の営みも繰り返されていく世界に居合わせている喜びは,じんわりと深いものです。
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