《喜びは あなたとわたし 結びつき》

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 子どもの日の新聞のコラムに,桃太郎が取り上げられていました。鬼退治に出かけようとする桃太郎に,おばあさんはなぜきび団子を持たせたのか,という問を読んだという書き出しです。闘いに持たせるなら弓や槍ではないか,食糧ならおにぎりの方が力が出そうなのに。犬と猿と雉が寄ってきて,きび団子をくれたら家来になるといいます。きび団子一つで鬼退治に命を賭けるとは,きび団子にはすごい効果があるのかも。
 話は次に転回します。桃太郎が強くても一人では勝てないと考え,かみつく,ひっかく,つつくという特技を持つ仲間の力が必要であるとすれば,おばあさんはチーム桃太郎を想定してのきび団子であったのかもしれません。そこに辿り着いて,桃太郎の鬼退治武勇伝を,仲間を集めて力を合わせるという知恵を教える物語と読み替えるとおもしろいと,コラムニストは感じているようでした。いろんな角度から物事を考えることを子どもに教えたいと願って,学校教育への提言をしています。
 桃太郎の話が,今の時代まで生き残っているのは,チームの大切さを教えるためだけではありません。大切なチームを作る具体的な方法を教えているのです。物事を考えるというのは,大事なことを知ることだけではなく,それを実現する手立てを見つけることです。チームが大切だと知っていても,チームを作れなければ,役に立ちません。きび団子は一体何の意味があるのでしょう? きび団子が無ければ,チーム作りはできないのです。
 一つの伏線があります。桃太郎の家来になった犬と猿は,犬猿の仲といわれて,昔から仲の悪いものの代名詞でした。チームになったとして,いざこざを抱え込むことになります。仲間というと横のつながりであると思ってしまうと,桃太郎のチームは成り立たなくなります。
 きび団子が解決の種になります。桃太郎が歩いていると,犬と出会います。お腰に付けたきび団子,一つ私に下さいな。ついてくるならあげましょう。そこで桃太郎と犬はきび団子契約を結び仲間になります。次に,猿と出会って,桃太郎と猿がきび団子契約をして仲間になります。雉も同じです.こうして,犬と猿と雉は,桃太郎との契約を結んだという意味で同じ仲間になります。
 誰と契約を結んだか,それを具体的な意識上の形にする手立てとして,きび団子は無くてならないアイテムなのです。犬と猿は桃太郎のために目的を同じにすることができて,けんかは一時預けの状態になります。チームには中心が必要であり,それぞれのメンバーが契約的に結びつく意識があって十分な形になります。
 家庭において,子はかすがいと言われますが,それは夫婦と子どもという関係では無く,母と子ども,父と子どもという二つの結びつきがあるからです。子どもにきょうだいができると,親と子どもたちという関係になるから,子どもは落ち着かなくなります。母とお兄ちゃん,母と妹,それぞれの結びつきが不可欠なのです。

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(2019年05月12号:No.998)