家庭の窓
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3月の暦に日曜日以外の赤い日付があります。20日の春分の日です。それは彼岸の中日でもあります。たまたま見ていたテレビ番組で,中日の読みをクイズにしていました。何ということもないクイズでしたが,年配の方が「ちゅうにち」とは違った答えを言っていたのには,驚かされました。
彼岸とは,雑節の一つであり,春分・秋分を中日として,前後各3日を合わせた各7日間をいいます。この期間に行う仏事を彼岸会(ひがんえ)と呼び,最初の日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」と呼びます。俗には,中日には先祖に感謝し,残る6日は悟りの境地に達するのに必要な6つの徳目「六波羅蜜」を1日に1つずつ修める日とされています。
暮らしの中では,暑さ寒さも彼岸までという言葉が語られます。春分の日は冬の寒い気候が春のぬくもりに変わっていくことになります。三寒四温という言葉があるように,寒さと温かさが交互に現れて徐々に冬から春に変わって行く中で,中日が季節の最後の変わり目になります。
地域の夜回りをしていると,冬の寒さ対策が必要ですが,それでも冷たい風が吹き付けてくると震えます。相棒と,今日は少し温かくなってきました,今日はまた冷たい風になりました,次は温かくなるようです,そんな会話を交わしてきましたが,それも彼岸を迎えて終わりになるのでしょう。
暑さ寒さだけではなく,雨降りの頻度なども,話に出てきます。相棒は農家ではないのですが,季節の作物を少し植え付ける農作業を楽しんでおり,種をまいた,苗を植えた,収穫したといった時期の節目のほか,水まきのような作業の変化を折に触れて話してくれます。他愛のないおしゃべりですが,自然の時間の経過を楽しませてくれます。時折,作物のお裾分けを有り難く頂戴しています。夜回りのルートの道すがらに出会う花の香り,田んぼの稲の生長,月の満ち欠けなど,自然との触れあいの中で,夜道の歩きを堪能できています。
夜回りですから,人ごとも見守っています。夜道の明かりがちゃんと作動しているか,異常な変化が起こっていないか,時には訪問先を探して迷っている人を導いたりすることもありますが,特に記録することはないという平凡な夜を繰り返しています。何もないのが良いのです。
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