*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【男と女の間には?】


 男性と女性の視線の動きは違っているそうです。女性はなめるように見る,男性はざっと見るというのです。子どもを育てる母の目は細部を見逃さない目であり,獲物を探したり危険を察知する父の目は空間的な把握のために要所を見届ける目なのです。
 とある家庭でのお話です。息子の小学校の運動会で,親が出る玉入れ競技があり,籠の高さ5mでした。その玉入れに夫が出て,妻がビデオに撮りました。「あんたも籠も撮ったよ」と妻。家に帰って見てみると,玉が左から右に飛んで,また左に飛んでいきます。写真じゃないんだからさぁ、ビデオを横にして撮るなよと夫は思いました。妻は全部を写したと思い,夫は配置が気になります。
 男女の目線の違いは,小さなすれ違いになります。ある若いカップルの話です。彼氏は理不尽なことで彼女からよく怒られます。髪の毛を切ったのに気づかなかったとか,目の回りの化粧を変えたのに気づかないだとか。それならまだ気づかなかったことが悪いとは思うけれど,「体重が500g減ったのに気づかない」と怒るのはあまりにもひどくないだろうか,と嘆いています。
 見ている世界が違うと,意識も違ってきます。あるラジオ番組で男女のアナウンサーが「ホッとするところ」というテーマでリスナーの声を交えてトークをしていました。男性アナウンサーは「家」という答えでした。女性アナウンサーは「布団の中」と答えていました。男性は家をポイントとして意識しています。ところが,女性は家をさらに細部に分けて布団の中というところまで意識しています。男性は家に帰れば面倒が見てもらえるのでホッとしますが,女性は家事育児で気が抜けずにホッとするのは布団の中までお預けということでしょうか。男性は大いに反省して,愛を示しましょう。
 年配の夫婦が旅をすると喧嘩になるそうです。旅は異世界を見ることが主になります。「さっき見えた赤いものは何なのかしら?」と話しかけられて,「そんなものがあったか?」と会話がすれ違ってしまうのが原因です。女性が気になっているものがあるということを,男性は認めるように気配りが求められます。それに気がつかないから,女性同士の旅が増えてくるのです。夫の面倒を見るのが嫌だから女性同士で旅にいくというばかりではないようです。
 男女が同じものを見ていないということはデメリットではなくメリットのはずですが,その違いをお互いに分かり合い認め合わないと,メリットは発揮されません。和やかというのは,同じであることではなく,違うことを受け入れる心の深さではないかと思います。
(2008年05月31日)