*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【人権教室の推進?】


 人権擁護活動の一つが啓発活動です。その啓発の手段として「人権教室」の活動があります。当協議会では,これまで人権教室の活動が組織立って行われてはきませんでした。他では,例えば子どもの問題部会・委員会が担当組織として活動している例もありますが,当協議会の子どもの問題部会では人権教室の取組は行っておりません。他に倣って,子ども部会に人権教室の活動を取り上げてもらうことも考えられますが,その選択はしないことにしました。
 人権教室を子ども部会の活動と位置づけると,対象が子どもだけに限定されてしまいますし,活動主体が子ども部会員に限定されてしまいます。人権教室は,小中学生だけではなく,高校生・大学生・大人にまでを対象とすることが望ましいと考えられ,現実に小中学生以外に向けた人権教室も行われてきました。さらには,人権教室を行う主体も,ヒマワリの花運動に連動した機会を利用して行われる人権教室が,部会員ではなく地元委員によって担われているという実態もあります。
 当協議会における人権教室の活動は,協議会委員によって推進されてきました。部会活動の一環として,伝えたいテーマがあって,そのテーマに相応しい対象と機会を選択して,人権教室として育て上げられた取組,あるいは紙芝居や熟練した話術を駆使した取組は,完成したものであり,可能な部分を協議会資本として共有化することが望まれます。一方で,人権の花運動を契機として児童に向き合う機会を捉えたとして,そこでどのような人権教室を展開すべきか,展開できるかといった課題を抱えている現状もあります。
 社会状況の変化によって,人権に関する啓発活動は,地方自治体や各団体により盛んに行われており,人権擁護委員による啓発は相応の特徴を持たせなければ歓迎されないといわれています。人権擁護機関でなければできない啓発を目指す中で,人権教室活動を意図的に開発することが求められています。その実現のために,協議会における多様な活動とコラボレーションしたテーマの精選や教材の開発などが,当面する取組課題となります。
 以上のような現状と要請を考えた時,当協議会の中に,人権教室の今後の在り方を明確にして効果的な取組とすることを目的とする専門的な推進組織が必要であると判断して,人権教室推進委員会の設置をお願いすることにしました。

 ここまで来るには,少し時間が掛かりました。平成21年8月10日の第2回総務委員会で,「人権教室体制及び研修について」協議がされ,活動隊を設けることが了解され,組織委員長,正副活動部長等が決まり,協議会組織として,校長会等に働きかけたり,また他協議会への研修を行ったり,人権教育担当者とテーマを協議したりなどの取組が想定されました。その後,実際上の活動は休止状態でしたが,平成22年12月10日の総務委員会で,「人権教室活動体制の現状について」話し合われて,4部会からの委員及び活動している委員で構成される専門チームを組織することが確認されました。さらに時を経て,平成23年7月29日の総務委員会において,「人権教室推進チームについて」協議され,活動中の委員を中心に,各部会からの委員を参集した体制を組むことが了承されました。
 平成23年9月7日に,第1回の人権教室推進チーム会議が開催されました。始めに,協議会長より人権教室の推進に取り組むチームの立ち上げに向けた趣旨の説明がなされ,協議が進められた結果,この会の名称を「人権教室推進委員会準備会」とし,会則の作成を含む「人権教室推進委員会」の設置準備をすることになり,研修などを含めた5回の会議が開催されました。
 平成24年の協議会総会において,この準備会で得られた「人権教室推進委員会規約(案)」が提案される予定です。平成24年度以降の協議会による啓発活動の飛躍のために寄与できる組織となることが期待されます。
(2012年04月10日)