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【思い取り?】
熱い食べ物が苦手な人を猫舌といいますが,実際に猫は熱いものが苦手のようです。猫は味覚が発達しており,舌の神経の3分の2が舌先に集中しています。舌先の表面には味蕾という味センサーが密集しています。この味蕾は非常に敏感であり食べ物が熱すぎると細胞が痛んでしまいます。猫舌は味蕾細胞を痛めないための自衛策なのです。もっとも野生の動物は調理した熱い食べ物を口にする機会は皆無で,せいぜい補食する動物の体温までです。舌にとって,熱いものは想定外なのです。
子どもは甘いものが好きですが,味覚が未発達のためではありません。確かに,子どもは苦味や渋みのよさがよく分かりません。苦味や渋味は食物の不良を検知するセンサーなので当然です。子どもの味覚神経は大人より敏感であり,口当たりのよい甘味を一番美味しいと感じるようになっています。さらに,子どもは,舌だけではなく,口蓋やのど,頬の内側など,口の中全体で味を感じています。大人にはちょっと苦味があってうまいというものでも,子どもにとってはとても苦くて食えたものじゃないということになります。
大人の味覚は日々麻痺していって鈍くなっているということです。育ち盛りの子どもは成長のためにたくさん食べる必要がありますが,育ちを終えた大人は腹八分に食べていればいいので,味覚もそれなりにリストラされるのでしょう。味に鈍感になるから,酸いも甘いもかみ分けることができるようになります。
イモ,クリ,ナンキン。女性の好物ということです。いずれも甘い食べ物で,スイーツなど,女性はなぜ甘いものが好きなのでしょう。甘いもの好きには,女性ホルモンが深く関わっているそうで,そうであるなら嗜好ではなく宿命ということになりそうです。
人権を守るためには思いやりが必要であるといわれます。言葉にこだわれば,思いやりとは,自分の思いを相手にやるということで,寄り添ってはいますが,相手の立場には転換していることではありません。自分の思いをやるのではなく,相手の思いを取り込むこと,思いとりが大切でしょう。
ミニレターにより伝えられてくる子どもの思いをしっかりと受け取る,思いとりをして,子どもになってみる,そのときに寄り添うことができたということになります。子どもが大人の上から目線を感じたとき,分かってくれていないと失望することになります。思いやりではなく,思いとりを。
(2012年12月12日)
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