*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

人権メモの目次に戻ります

【切りようで?】


 明けましておめでとうございます。ところで,「新年 明けましておめでとうございます」とは言わないものです。また,「謹賀新年」といっしょに書いてはいけません。英語の,Happy New Year は「明けましておめでとう」ではなく,「よいお年を」という使い方をするものだそうです。
 「おはようございます」というあいさつ言葉があります。使うときに,「おはようございます,○○さん」とは言いません。相手を言うときには,「先生,おはようございます」と言います。英語では,「Good morning, Mr.(Ms.)〜〜」となります。「Good morning」だけだと「おはよう」に当たるようなぶっきらぼうな言い方になるそうです。相手を特定しないと丁寧さが現れてこないということでしょう。
 では,「おはようございます」は,何時ごろまで使えるのでしょうか? 普通には,10時頃まででしょう。「早い」という意味を意識すると,遅くには使いづらくなります。確かに,昔の農作業中心の生活の中では,日の出前が「おはよう」であったということですので,11時ごろ「おはようございます」と言うと「遅い」と言われるかもしれません。もう一つの気配りは,1日のうち,最初に会ったときにだけ「おはようございます」と言い,2回目以後に会ったときはなにも言わないものです。因みに,英語の「Good morning」の場合,"morning"は日本語の"朝"とは違って"午前中"を意味するので,早朝から正午直前まで用いられるそうです。
 NHK放送文化研究所では,テレビで出演者があいさつする場合に「おはようございます」は何時まで言ってもかまわないか,ということについて,世論調査形式で尋ねています。午前9時に「おはようございます」とあいさつをしてもよいと考える人は全体の9割程度です。ほとんどの人が問題ないと考えている,と言えます。ところが午前10時では,3分の2程度の人が「よい」と考える一方で,3分の1を超える人たちが抵抗を感じるような結果が表れています。
・・・・・・・・・・・・・・(以上,ネット検索を参考にしています)。
 「こんにちは」から「こんばんは」に替わる時間は,17時半から18時頃,つまり日没の時間という一般的な認識があるようです。判断に迷うところが,「おはようございます」から「こんにちは」に替わる時間です。11時頃は,どちらのあいさつが適当かということです。「こんにちは」には敬語表現がないので,「おはようございます」が延長して使用されているという事情もあるようです。
 あいさつと時間についての疑問は,何時までに食べるのが朝ご飯なのか,何時から食べるのが夕ご飯なのかというのと同じです。関連して,「午前中」とは言っても,「午後中」とは言わないという疑問もあるでしょう。朝昼夜という時間を表す言葉がありながら,その境目はきちんと決められていません。言葉は物事を切り取って表現しているものですが,すぱっと厳密に切り取っているのではないこともあります。言葉を交わす者同士の状況に委ねられています。きちんとした対話をする際には,お互いの言葉の切り口を確認する必要があります。
(2013年01月05日)