*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【念要り?】


 ミカンやグレープフルーツなど,甘酸っぱい柑橘類は,ビタミン補給のために食べられているでしょう。ミカンを食べ過ぎると皮膚が黄色くなるといわれたりしますが,それ以外にも意外なものが傷つけられているかもしれません。柑橘類の外皮にはリモネンという成分が含まれていて,これはポリスチレンというスチロ−ル系のプラスチック樹脂を溶かしてしまいます。テレビやクーラーなどのリモコン類がつやが落ちてガサガサになっていたら気をつけて下さい。表面が溶けているかもしれません。リモコンだけではなく,パソコンやプリンタのプラスチック部分にもスチロール系の樹脂が使われています。ミカンを食べながら,プラスチックに触らないようにした方がよいようです。
 物事は思いもよらない伝手でつながっていくものです。64歳の男性が,電車の中で願わくば席を代わってもらいたいと思い若者の前に立ちました。その若者が80歳でエベレストに登った三浦雄一郎さんの話をしていたのを聞いてしまい,恥ずかしくなってその場を離れたそうです。三浦さんには思いもよらないことでしょう。
 「ビタミンC」という言葉を見聞きすると,たいていの人は酸っぱい味を思い浮かべます。ビタミンCの量が,レモン○○個分などと,柑橘類で表されることが多いからです。柑橘類に含まれるクエン酸には,強い酸味があるので,ビタミンCは酸っぱいというイメージができていきました。しかし,純粋のビタミンCはほとんど味がありません。酸っぱいミカンの中にあるものはすべて酸っぱいという思い込みが働いています。
 ある年配の女性の経験です。新幹線の中で男性の方と隣合わせになる時,真ん中のひじ掛けを占領されてしまうことが多いです。先日も隣の男性に,黙ってひじ掛けを占領されました。ところが,私の降りる駅が近づき,棚に上げた荷物をおろそうとしたとき,その男性は,さっと立ちあがって荷物を取って渡してくれたのです。人間って面白いものですね。今までのマイナスに振れた気分が元に戻りました。
 一つの行動で,人を品定めしてしまうと,見誤ることがあります。念には念を入れた見定めができないときは,思い込まないことです。念が必要です。

(2013年05月02日)