*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【そうだったんですね?】


 大正13年に開発されたフマキラーという殺虫剤があります。キラーは殺すものという意味ですが,フマにはどのような意味があるのでしょうか? ハエは英語でフライ,蚊はマスキート,二つの頭文字をつなぐとフマになります。ハエ・蚊殺しというそのままのネーミングでした。
 昭和46年にハウス食品がククレカレーを発売しました。袋ごと熱湯に入れるだけで食べられるレトルトカレーは,料理の手間が掛からないうえ,後片付けも簡単です。料理しなくていい,クックレスを略して,ククレ。
 若い人が好んで食べるモスバーガー。MOSは,Mountain(山),Ocean(海),Sun(太陽)の頭文字です。「山のように気高く堂々と,海のように深く広い心で,太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って」取り組んでいくという思いが込められているそうです。
 古くなった刃をパチンと折って使うカッターナイフは,昭和31年,ガラスの破片と板チョコからヒントを得て発明されました。板チョコのように刃先をポキポキ折っていくことで切れ味を持続させる方法を考案し,世界で初めての折る刃式カッターナイフを作り出しました。世界百か国以上で使われる文房具です。このカッターナイフのブランド名はオルファです。オルハ(折る刃)は英字表記ではHAとなり,スペイン語やフランス語では発音しにくいので,世界で広く通用するFAにして「OLFA]と表記されています。
 朝食の定番,焼き魚の代表格はサケ(シャケ)です。サケは「裂け」からきているといわれます。貝原益軒の「日本釈名」には「サケは裂なり,其の肉片裂け易し,他の魚とは変われり」とあります。確かにその通りではあります。
 あれこれの名前に寄り添って,その思いを尋ねると,意外に素直な答に出会うことになりました。言われてみればなんだということで,拍子抜けをしますが,それが当たり前なのでしょう。名前という言葉はよそ行きの装いを凝らして気取っているので,分かりにくさがありますが,少しの気配りをすれば,思いを受け取ることができます。
 知らないところに出掛けるときは遠くに感じますが,帰り道は気持ちとしては近くなります。同じように,初めての方との相談などのコミュニケーションは,お互いに遠くにいて言葉が通じにくさがありますが,言葉を重ねていくと,返ってくる言葉が近くなって分かるようになります。分かり合えると,気持ちは身近になります。あれやこれやの予断を持たずに,素直に受け止めていけば,言葉というものは分かり合えるようにできているものです。
(2013年08月30日)