*****《ある町の人権擁護委員のメモ》*****

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【優と美?】


 男性が何気なく着ているワイシャツ。ホワイトシャツという英語をワイシャツと聞き取ったそうです。そのワイシャツのボタン穴は縦向きにあいています。女性が着るブラウスのボタン穴は縦向きも横向きもありますが,男物のシャツのボタン穴はほとんど縦あきです。理由は二つあるそうです。一つは,男物のシャツは生地の目が縦のため,ボタン穴も縦に切った方が丈夫で,きれいにカットできるということです。もう一つは,男物のシャツには縦縞の柄が多いため,縦にカットした方が目立たずに見た目も美しいからです。
 ただし,男物のシャツ穴にも一つだけ例外があって,それは一番上のボタン穴がたいてい横にあいています。横にあいている分だけボタンが横にスライドできて,首をきつく締めないようになっているのです。襟の生地は横向きになっているようです。
 男のファッションの一つ,ボタンダウンのシャツ。襟の先にボタンが付いています。1900年,ニューヨークの紳士服店の当主であるブルックスが,イギリスのポロ競技を観戦していました。ポロ競技は馬にまたがった選手がゲートボールのスティックのような棒でボールを打って得点を競うゲームで,上流のスポーツとされていて,服装も襟のあるシャツとされていました。ブルックスは,選手がボールを打つ度にシャツの襟が頬に当たっていることに気がつきました。プレーにも支障を来すと思い,襟をボタンで留める方法を考えました。このシャツを,ポロカラーシャツと名付け,やがてボタンダウンとしてニューヨーカーたちに定着していきました。
 どうということのない細部に機能的な意図があり,それ故にたんなる飾りを越えた美しさが備わるのでしょう。人に優しくなければ美しくない,そういう機能美という複合的な価値を築いてきた先人の知恵を受け継いでいきたいものです。人に優しい人権,美しい人権を目指していきたいと思いませんか?
(2014年01月08日)