【生きる羅針盤の提案(34):気持切替7策】
人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。
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「私が生きる羅針盤」を考える第34版です。今号では,気持の切替が早い人の7つの特徴を解説している情報に接したので,生きる羅針盤に参照してみました。日常の同じ出来事に出会っても,それを幸せに感じることができるような手がかりになるかもしれません。
【4.決断力や行動力がある】
《説明》気持ちの切り替えが早い人は,決断が早く行動力もあります。よくない事態が起きてもすぐに決断し行動に移します。つまり,悩む時間が少ないのです。気持ちの切り替えが早い人が大切にしている考えは,悩むよりもどんどん行動して経験値を増やすことです。深く考えすぎず,ときには思い切って行動してみるとよい結果につながるでしょう。
※気持の切替を早くするためにできることは,もう一人の自分が自分にできることを見極めて,よくない事態の完全な解決に焦らないことです。現状で自分にできることを見届けて取り組んでみます。一つ一つの取り組みを進めていく中で,新たな局面が見えてくるようになります。してみないと分からないことがあるのです。できないこともある場合にも,支援を求める決断をすれば,早めの対応という良い結果を招くことができます。もう一人の自分が立ち上がらなくては,自分を導くことはできません。
【7.他人と比較しない】
《説明》気持ちの切り替えが早い人は,自分の軸をしっかり持っているため他人と比較しません。ミスなどをしても自分の経験から課題をすぐさま見つけて改善に努めます。「人は人,自分は自分」でいることは,ポジティブ思考や自己肯定感の向上にもつながるのです。自分と向き合う姿勢を大切にしてぶれない軸を作れると,気持ちの切り替えが上手になれます。
※気持の切替を早くするためにできることは,周りの皆と同じでなければならないと自分を追い込むことをしないことです。人にはそれぞれの事情や背景があり,違った行動を選ぶ必要があります。他人と比較することで判断を自分軸からそらすようなことにならないようにすべきです。そのような余計な気遣いが無用であることを,皆と理解し合う関係が大事です。お互いを信頼することが,気持の切替を早くすることにつながるのです。
【6.自分をよく理解している】
《説明》気持ちの切り替えが早い人は,自分の性格や能力をよく理解しています。「やるべき仕事が多いと混乱する」「誰かの怒り声が聞こえると集中できない」など,自分にとって不都合な状況をあらかじめ把握しているので,よくない状況が起きたときでも気持ちを上手くコントロールできるのです。
※気持の切替を早くするためにできることは,自分の不都合な状況を言葉できちんと表現できていることです。なんとなく感じているのではなく,具体的に何が嫌か,困るかなどを理解していると,自分に何が起こっているかが明らかであり,不安や迷いから逃れて,落ち着いて対処することができます。もう一人の自分が自分を理解するのは,言語的な説明という表現に依っているのです。
【3.集中力が高い】
《説明》関係ないように感じるかもしれませんが,気持ちの切り替えが早い人は集中力が高いのです。集中力が高い人は「今やるべき課題」を常に全力で取り組めます。そのためよくない状況が起きても,余計な感情に左右されないため高い集中力を発揮でき,気持ちを切り替えることができるのです。
※気持の切替を早くするためにできることは,社会的なつながりに基づく活動の優先度・必要度といった価値尺度に従って適切に判断することです。今しなければならないのか,必ずすべきことなのかといった指針に沿って状況判断をするようにすれば,すぐに集中できるはずです。どうしようという迷いがあれば,集中もできません。社会的なつながりが関わるような状況であるという認識を持って,当面する活動を選択することが大事になります。その結果として,無駄な時間を無くして,有効な時間を集中に向けることが実現されます。
【2.頭の回転が速い,5.問題解決スキルが高い】
《説明》上手く気持ちを切り替えられる人は頭の回転も速いのです。気持ちの切り替えが早い人は視野が広く,いくつもの視点から物事を考えられます。頭の回転の速さだけでなく頭もよいため,状況判断も瞬時にできます。「ここを改善すれば良くなるかもしれない」と素早く問題解決に向かうため,前向きな姿勢で物事に取り組めるのです。
また,気持ちの切り替えが早い人は,問題を解決するのが上手です。頭の回転が速い点や集中力の高さ,決断や行動する力に優れているためさまざまな問題にスムーズに対応できます。
※気持の切替を早くするためにできることは,時間の経過に沿う段取りを想定することです。いくつもの視野があっても,同時に取り入れることはできないので,順序よく運ぶことが肝要です。そうすることで,取り組む物事の目標を現状に結びつけて設定することになります。今できることから取り組むようにしないと,した方がいいことをあれこれすべて考えていくと膨大な作業量にふくらんでしまい,着手が遅れていきます。とりあえずここまで今日中に,この段階で終えてみて,この程度の出来で,と間に合う段階を設定します。一事が万事完璧な最高品質が求められているわけではありません。状況に応じた完成度があるはずです。最高品質ではなくても良い品質であればいいという現実を受け入れた方が,時間を有効に使えるはずです。活動には状況に応じた程良い完成度があります。その見極めが大事です。
【1.前向きでポジティブ】
《説明》気持ちの切り替えが早い人は,よくない状況が起きても前向きでポジティブです。最悪な事態でも「もうだめだ」とネガティブに考えません。くよくよ考えず,「なにがだめだったのか」「どうしたら改善できるのか」とすぐに行動を始めます。できるだけ「よくなる方法」を考えられるように心がけていきます。
※気持の切替を早くするためにできることは,手持ちの時間で自分にできることは何かを見届けることです。前向きというのは,できることをきちんと意識できることです。それは逆に言えば,できないことがあれば,手伝ってもらうことを考えればいいのです。一つでも,少しでもできることから手をつけていこう,それで状況が動いていけば,次のできることが見えてくることもあります。よくない状況には付き合いたくはありませんが,できることだけでも,寄り添ってみようと思うことが,前向きということです。その歩みが時間を大事に過ごしていく人生の積み重ねになります。継続は力になります。
○以上,気持の切替を早くするためにできることを,「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。
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社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。
(2025年09月28日)