*****《ある町の退任人権擁護委員のメモ》*****

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【生きる羅針盤の提案(42):縁切8選】


 人権宣言等から導き出した「人権羅針盤」は,人権という言葉が目指すものに言い換えると人が穏やかに生きるための羅針盤と考えなければなりません。だからこそ,先に示した子どもの育ちを考える羅針盤としても有効になることができたのです。ここでは,「生きる羅針盤」としての様子を描き出しておくことにします。ふと立ち止まって,「生きるとは?」という疑問に出会った際に,その思考のお手伝いができたら幸いです。

 「私が生きる羅針盤」を考える第42版です。人との出会いは人生を豊かにするものですが,中には一緒に過ごすことで心が疲れたり,ストレスを感じたりする相手も存在します。そのような相手との関係を無理に続けてしまうと,精神的な負担が積み重なり,結果的に自分自身の健康や幸せが脅かされることがあります。心の健康や幸せにつながるためには,縁を切った方がよい8つの特徴を取り上げた考察がありましたので,生きる羅針盤に参照してみました。縁切にした方がよい行為に気付くことができたら回避する参考になるでしょう。
  ※参照先の「縁切りした方がいい人の特徴8選 一緒にいると心がすり減る相手とは?」は こちらです。

生きる羅針盤の提案(縁切8選)です
【2.自己中心的な行動が目立つ 5.干渉が激しい】
《説明》約束を頻繁に破ったり,急なドタキャンを平気で繰り返したりする自己中心的な人とは信頼関係を築くことが難しく,あなたの時間やエネルギーを無駄にします。相手に配慮がなく,常に自分の都合だけを優先する人とは適切な距離を保つべきです。
 また,「週末は何をしていたの?」などの干渉が激しく,プライベートに踏み込んでくる質問が普通の会話の範囲を超え,あなたの生活をコントロールしようとする人とは,精神的なストレスが蓄積します。必要以上にプライバシーに踏み込んでくる場合,はっきりと境界線を引く必要があります。

※私たちが人との付き合いに求めていることは,共に生きるという状況の実現です。そこでは,人それぞれが独自に行動を決断している中で,協働行為についてはお互いに折り合うということを決断に取り込む必要性を納得しなければなりません。完全なマイペースではつながりは難しくなるので,アワペースというつながり構築の判断を採用すべきです。私の行動ではなく私たちの行動という判断の主体の転換が必須になります。

【4.自己犠牲を強いる】
《説明》いつもあなたが我慢したり,相手の要求を受け入れざるを得ないような関係は健全とは言えません。無理なお願いを何度も繰り返し,それを当然のように受け止めている人とは距離を置き,自分の意思や感情をはっきり伝えるようにしましょう。

※私たちが人との付き合いに求めていることは,平等な信頼関係の構築です。生きていく上では場面に応じて支えたり支えられたりという立場の変換が必要になります。その変換が確実であるという信頼によって,人は安心して支え合うことができます。自己犠牲という形で支えるばかりに追い込まれる関係は,平等とは言えません。要求されて犠牲になっている,そういう関係は信頼とは裏腹になります。

【1.他人への悪口や批判が非常に多い】
《説明》いつも周囲の悪口や陰口を話題にする人とは,距離を置くべきです。悪口は周囲にも悪影響を及ぼし,あなた自身の評判を下げる可能性もあります。「いつも誰かの悪口ばかり言っている」と感じたら要注意です。

※私たちが人との付き合いに求めていることは,真実の理解をしていくことです。悪意という虚偽の上に真っ当な付き合いは成り立ちません。理解に必須である言葉が悪口や陰口というマイナス内容では,つながりを結ぶことはできません。たとえ自分に向かっていなくても,縁切りしなければなりません。付き合いの手管として,誰かを貶めることでこちらが仲良くするということがありますが,それはいつ自分に向かってくるか分かりません。

【3.損得だけ 8.感謝がない】
《説明》困った時だけ急に親しく接してきたり,利益がないと判断した瞬間に態度が冷たくなる損得だけの人とは,長期的な人間関係を築くことが難しいでしょう。利用されることが習慣化すると,自己肯定感が大きく低下します。
 また,何かしてもらっても「ありがとう」の感謝を言わない,相手にしてもらうことを当然だと考えている人とは,健全な信頼関係を築くことが難しいです。周囲に対して敬意や感謝の気持ちがない人とは,一緒にいても心が満たされません。。

※私たちが人との付き合いに求めていることは,自分だけの得のためではなく,共に生きるという愛の成就のためです。自分だけが得すればいい,そういう振る舞いが通用すると勘違いしている,したがって,相手に感謝などという気持は全くない,これは一人で生きることしか考えない愚かさの証です。お互い様という互恵関係,それが求めている付き合いなのです。そのために愛という支えに向かう情感を育んでいるのです。

【6.不機嫌さで周囲を支配する】
《説明》あからさまに不機嫌な態度を取ったり,無言やため息で周囲に気を遣わせたりする人は,あなたを無意識に操っています。「あの人の機嫌を損ねないように」と常に気を使ってしまう場合,その関係は改善が必要です。

※私たちが人との付き合いに求めていることは,落ち着いた雰囲気の関係であり,そこから明日への活力を湧き出していくことです。不機嫌さがまき散らされると,現状が不安定になり,狼狽えるしかありません。明日への思いなど,吹っ飛んでしまいます。不機嫌さという手管によって,今の関係を支配するつもりか,ただのぶち壊しの積もりか,いずれにしても,こちらからはとりあえずは無縁を突きつけるしかありません。

【7.人の夢や成長を否定する】
《説明》何か新しい挑戦をしようとすると,「どうせ無理」「そんなことやって意味あるの?」と否定的な意見を繰り返す人と関わると,あなた自身の可能性や自信が損なわれてしまいます。自分を応援してくれる人との関係を優先しましょう。

※私たちが人との付き合いに求めていることは,少しでも良い明日を目指すという願いの共有です。現状にはさまざまな不都合や不足なことがあるものです。その改善を共に目指そうという意欲がつながりの活力を生み出します。その思いに水を差す人とは縁を切っておかないと,生きることを諦めさせられかねません。他の応援し合えるつながりに寄り添っていくことです。

○以上,人のつながりを悪用したり壊してしまう8つの縁切行為を,「生きる羅針盤」に対応させてもらいました。これまでの対応事例と同じように,あまり違和感もなく整理をすることができているはずです。それぞれの想定している世界観における具体的な表現は違っていても,人が思い至る幸せに生きる境地は本質的に同じ構造になっているようです。それぞれを別個にしておかずに,まとめていく作業から,人の生き方について深い理解が得られるのではないかと期待しています。

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 社会に真剣に向き合って生きていくことは,人として誰もが願っていることです。ただ人には本能から派生する弱さもあります。その弱さを押し込めていく意思が必要になります。そしてその意思は目標を必要とします。それが羅針盤なのです。
 人としてすべきことから外れないようにすることは大事であり,それは誰にとってもできることであり,気持ちの良いものです。しあわせは誰かだけにあるのではなく,皆に同時にあるものです。権利を守る,言葉は堅く響きますが,人として生きていく自然な姿であればいいのです。

(2025年11月23日)