*** 子育て羅針盤 ***

〜 《Ver.2 from No.15》 〜

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「子育て羅針盤」:第26号
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[2001/03/26]
【子 育 て 羅 針 盤】
(第26号)
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 我が町で,行政担当者と中学生との間で町のあれこれについて会議が持たれました。中学生から「ポイ捨て防止のためにゴミ箱を設置しては」という意見が出されました。担当者からは,ゴミ箱を設置したら,燃えるゴミ,空き缶,紙おむつなど無差別に放り込まれて,その回収作業には余計に税金が使われることになり,またゴミは持ち帰ることを原則としているので,設置しないとの返事でした。もの別れ?

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★子育てtips★
『頭のいい子に育てる方法』
(第12号)
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 イギリスの社会学者で言語の問題を研究しているパジル・バーンステインという人がいます。この人が,家庭で使っている言葉によって,子どもの学習能力に差が出てくるという説をのべて,たいへん大きな反響をまきおこしました。
 バーンステインはことばを二つに分けて考えます。一つは「制限コード」,もう一つが「精密コード」です。

 日常の生活はこの「制限コード」で営まれています。
   母「しっかりつかまっていなさいよ」
   子「なぜ」
   母「しっかりつかまってなさい」
   子「どうして」
   母「しっかりつかまっていなさいって言ってるでしょ,わかんないの」
というのがその例です。子の「なぜ」というのには答えないで,とにかく,「つかまっていなさい」ということだけを伝えるのが母親の言葉です。

 これが「精密コード」になると,たとえば,こんな具合です。
   母「危ないから,しっかりつかまるようにしなさいよ」
   子「どうして」
   母「このバスはよく急に曲がるの。そうすると,つかまっていないと,
     横倒しになるのよ」
   子「つかまっていれば,倒れないの?」
   母「それはだいじょうぶよ」
   子「そう」

 子どもの知能は「精密コード」を使うことによって,伸びるものだというのがバーンステインの考えです。

「心と心をつなぐ話し方」:外山滋比古著・PHP文庫

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★続・子育ち12章★
『ママはいい 言うだけならば 楽だから』
《第2-12章》
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 ■はじめに

 大人が何か新しいことをはじめようとするとき,入門書は便利ですね。
 でも,パソコンなどの電気製品のマニュアルは分かりにくいですね。
 子どもはマニュアル無しで,いつの間にかマスターしてしまいます。

 子どもは習うより慣れろという学び方によって育っているからです。
 慣れるためには,ある程度の期間のめり込まなければなりません。
 ちょっとやってできないとあきらめていては,慣れることができません。

 慣れるまで続けさせるために,前章でふれた励ましが必要になります。
 ただ,慣れるという学びには,必ず自己流という壁が立ちはだかります。
 いわゆる伸び悩みの状態に封じ込められることになります。

 たとえば,走るという行動についても,無理のない走り方がありますね。
 やはりどこかの段階で,キチンと学ばなければなりません。
 その学び方を子どもに教えておきましょう。

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 【質問2-12:あなたは,お子さんに学び方を教えていますか?】

 《「学び方」という内容について,説明が必要ですね!》
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 ○真似させよう?

 幼児期にはいつの間にか身に付くという学び方をしています。親の真似をしているうちにできるようになります。第1版でも紹介しておきました「まねる=まねぶ=まなぶ」という言葉の変化は,自然な学び方を示唆しています。

 ある家で母親たちが集会をしていました。その家の幼い子どもが部屋の前にやってくると,乱雑に脱ぎ捨てられているスリッパを揃えはじめました。いつもきれいに揃えられているからです。幼子は別に意識してはいません。いつものパターンと違う,揃っていないと何か違うと感じられて無心に揃えているのです。

 習い事のはじめはわけも分からないままで形から入ることがあります。よいものをいつも目にしていると,乱れに違和感を感じて,いつものものに戻そうとします。それが暮らしの中でのしつけです。よい手本を与えること,親がチャンとすることによって子どもに真似をさせることが学び方の出発です。

・・・よい原画でないとコピーはぼやけてしまいます。

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 ○ぎごちなさ?

 「歩んよは上手」と育ててきましたね。やがて歩くのが当たり前になり走ってまわるようになります。スポーツなどでも下手な初心者は動きがぎごちないものです。上手になるためには,練習によって慣れるしかないようです。では,慣れるとはどういうことなのでしょうか?

 いろんな調査を見ると,子どもたちの体力は昔に比べて伸びていますが,不器用になっているようです。転び方が下手になって,顔面を打ってしまうという例もあげられます。暮らしの中で何度もつまづきながら,上手に転ぶ能力を身に付けていないからです。

 コップの水をこぼさずに運ぶ動作は,力があればできるかというと,そうではありませんね。筋力のコントロール能力が必要です。全身の神経系を精一杯に働かせてやらなければなりません。この微妙な力加減を練習から学び,その繰り返しによって神経系に記憶させることが,慣れるということの内容です。動きがぎごちないのは,自然な力の配分を会得していないからなのです。

・・・自然な動きをしようとすることで,神経系が学びます。

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 ○正しくなければ?

 いつもは成績のよくない子どもが学校からすっ飛んで帰って来ました。
   「お母さん,ただいま,見て,今度は努力賞が五つもあったよ」
   「ほんと,見せてごらん」
 見ると,努力賞ではなく「努力しよう」と書かれていました。
   「たいしたものね,このひらがな,今度は漢字にしようね」

 きちんとしないと気がすまないママさんは,子どもの勘違いをたしなめて,尻を叩いてハッパをかけてはいませんか? せっかく喜んでいるのに水を差しては,子どもはがっかりすると同時に,やる気もしぼんでしまいます。他愛のない思い違いが子どもをよい方向に動かしているときには,大いに利用しましょう。「嘘も方便」とは,人を生かすことです。

 人は勘違いによって救われていることもあります。恋人たちも大きな勘違いによって結ばれているのかもしれません。なにごとも正確であるべきと思っていたら,生き方が窮屈になります。親子の間でも同じでしょう。少々のことには目をつぶって,楽しく生きることを選ぶような余裕が,幸せになるための学び方です。遊び心がなければ,生きる学びではなくて,試験だけの学びに追いつめていきます。

・・・何が大事なのかを見極める姿勢が,生きるための学び方です。

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 ○学びのポジション?

 テレビで健康体操を見ているとき,お年寄りは真似ようとするのですがこんがらがってしまいます。「一人でもこちらと同じ向きにして見せてくれると覚えやすいのに」と言います。向き合って体操をすると,逆に動いているように感じます。確かにラジオ体操を皆の前でするときは,左右の動きを逆にしてみせます。それが混乱の元です。

 教えるときにお互いが向かい合わせの位置では,覚えにくいものです。横に並んで同じ向きになって,「こうする」と動いてみせると,すぐに覚えてくれます。経験はありませんが,ダンス教室は正面の壁が鏡になって,先生も同じ向きのようですね。テーブルで勉強を教えるときも,横に座って教えた方がいいでしょう。向かい合う態勢は,どこか監視されているような圧迫感を感じさせます。

 昔から親は後ろ姿で教えると言われていますが,それは同じ向きになるという点が大事なことなのです。子どもにとっては最もまねしやすい位置関係です。最近のママは子どもをおんぶしなくなりました。おんぶすれば親の背中で子どもは常にまねできる態勢にいるわけですから,自然にいろんなことを覚えていくはずですが,そのチャンスを与えていないことは残念なことです。

 学校では先生が教壇をはさんで向き合って教えていると,生徒はおぼえにくくなります。板書すれば,子どもと同じ向きになれます。黒板を上手に使うという教え方には隠された意味があるのです。

・・・人から習うときには,同じ向きになれば楽に覚えられます。

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 ○分かりましたか?

 「なぜ,どうして?」と質問する子どもは,学びの門を入っています。ところが尋ねられた方はたまりません。「どうしてアリさんには名前がないの?」とか,「フリンてなに? プリンと違うの?」とか,返答のしようがないことや,どう説明すればいいのか分からないことばかりです。「変なことばかり聞かないの」とか,「大人になったら分かるから」と退散ですか? それでは折角の学びの門を閉ざしてしまいます。

 大人は子どもの質問の意味を取り違えています。子どもは子どもなりに分かりたいだけなのです。ラジオで子ども電話相談がありますが,答えている専門の先生方は難しい言葉や概念を何とか説明しようと苦心惨憺です。例えば,星の説明に「光年」を使い,「光が1年かかって走る距離です」と説明していますが,小学生には実感できないはずです。「分かりましたか!?」と念を押されて,「わかりました」と答えている声に勢いがないのは,無理もありません。

 子どもに限らず,分かりやすさとは「そうか」と合点がいくことです。理屈はともかく分かればいいのです。理屈抜きに分かる最も有効な方法とは,例え話です。ペスタロッチが「例えば……と話を進められますか?」と教えてくれています。子どもが喜ぶおとぎ話は,すべて例え話だということを思い出してください。「アリさんにもちゃんと名前はあるの。お友だちになったらそっと教えてくれるかもしれないよ」(?)。

 虹が出ていると子どもが教えてくれたとき,何と応えますか? 「そう」と聞き流す一言。「もう消えちゃってるでしょ」と無愛想な応対。「七色はどうして出るのか知ってる?」と教育的な誘導。「美しい虹はね,急な雨で濡らしてゴメンという,空のお詫びの印なのよ」という例え話。

・・・本の好きな子は例え話で分かる喜びを知っています。

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 ○限界を知る?

 人がたくさんの知恵を蓄えてきた目的は,物事の成り行きを予測する力をつけるためです。動物は第六感に頼りますが,人は理論的な推察を手にしています。「こうだからこうなる」という知識を持っているので,結果を想像し予測することが可能になりました。

 大人は「一年の計は元旦にあり」と思い,子どもは休みの計画を立てます。その甲斐なく計画倒れに終わります。「こうだからこうなる」という知識に頼って立案した計画は,予想しない展開によってご破算になります。その苦い体験から「世の中は人の思い通りにはいかない」という人生訓が生まれます。つまり人の思いとは完全な推論ではあり得ないということです。大切なことは,不完全な知識を責めることではなくて,知識の使い方です。新しい展開を組み込んで考え直すことです。

 子どもは,何かし始めていても,簡単に「だめだ」とあきらめてしまうことがあります。そこで何が問題かを見極め,何とかしようとするかどうかが学びの分かれ目です。すなわち,自分の持っている知識や能力の限界を素直に認めることができるかどうかです。出直ししようとすれば,大人に尋ねるなり,勉強するなり,いろんな学び方ができます。自分の知識を常に修正し続けようとする学び方が,伸びる学び方です。

・・・どうすればできるかを考えるために,人は学び続けます。

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 《学び方とは,子どもが納得できる形で知恵を獲得することです。》

 ○教えてできることは教えればすみます。学ばなければできないこともたくさんあります。気持ちとか行動といった生きる上で基本となることは,学ばなければなりません。マナーは頭で覚えればすみますが,優しさは教えただけでは身につきません。ロボットのようにメモリーしたプログラムどうりに動くものではないからです。心は学ぶことによって備わります。

 【質問2-12:あなたは,お子さんに学び方を教えていますか?】

   ●答は?・・・もちろん「イエス」ですよね!?

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★編集後記★
 お届けした「子育て羅針盤」第26号はいかがでしたか?

 さて,今号で「続・子育ち12章」は完結しました。次号からは「パパ・ママへの12章」として,第3版の稿を書き進める予定です。もちろん,12章としての構成は従来のものを踏襲します。そのほうがこれまで読まれてきた方にとっては,なじんでいただけると思うからです。どんな新しい話題が飛び出してくるか,楽しみにしてくださいね。

 テーマや課題についてのご希望がありましたら,どうぞ気軽に申し出て下さい。適当な章の中で,ご一緒に考えさせていただきます。

☆予告☆
 次号では,「子育ち12章・第3版」

 【質問3-01:あなたは,お子さんが邪魔だと思うことはありませんか?】

について考えます。お楽しみに!

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  是非訪ねてみて,積極的にご利用下さい。

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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午
〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)
○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp 
〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。

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