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[2003/07/07]
【子 育 て 羅 針 盤】
(第144号)
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至上の処世術は,妥協することなく,適応することである。
・・・・・ジンメル
至上の養育術は,妥協することなく,適応することである。
妥協は一時しのぎであり,適応は進展だからである。
・・・・・H.モリのクマさん
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★ママの?★
『バーコード?』
(第01号)
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スーパーマーケットのレジで採用されたPOSシステムは,今では至る所で見られます。POSシステムって? Point of Sale の略で,どの商品がいつ売れたかという記録を瞬時に可能にするシステムです。日本ではイトーヨーカ堂がレジ係の腱鞘炎を回避するために導入したのが最初です。
商品ごとに13桁の番号がついていますが,それを読みとるための印があのバーコードです。数字は左から読みとりますが,最初の二桁の数字,49が日本という国籍を意味しています。続く5桁が製造会社のコードで,次の5桁が商品アイテムを表示しています。最後の一桁は読みとりが適正にできたかをチェックするためのコードです。つまり,バーコードは製造会社と製品種別を表しています。
バーコードの構造ですが,一つの数字を7本の白黒ラインで表しています。例えば,「□■□□■■■」は2進法で「0100111」に対応し,数字の「0」を意味しています。後ろの3本の黒線はつながっているので太い線に見えます。この白黒のバーにレーザー光線を照射すると,白からは反射,黒からは反射しないという違いがあり,その反射光を読みとっています。
バーコードには値段は記入されていません。レジで読みとると,コンピュータにあらかじめ記憶させておいた商品ごとの値段がレジの方に表示されます。タイムバーゲンなどの安売りの場合でも,商品一つ一つの値段表示を変える必要はなく,コンピューターに値段を入力すれば済みます。同時に何時頃どの商品が売れて在庫がどれほど残っているかということが瞬時に分かります。商品管理上も便利です。
流通管理のシステムとしてバーコードはいろんな所に利用されています。ちなみに,図書についてもISBN番号が付いていますが,2段目のバーコードには価格が表示されています。本のバーゲンセールはありませんので,価格を変える必要がないからです。
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★ボクの育ち12章★
『ボクのこと どうすればいい ママの留守』
《第12-01講》
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■つれづれ・・・
役目柄さまざまな会議に引っ張り込まれます。協議の場では執行部や事務局からの提案に対して,「何かご意見は?」と問いかけがなされます。大方が提案の通りでいいんじゃないかと思っているところに,勢いよく手を挙げてご意見を述べる方がいます。聞いていると,協議されているテーマとの関連があまりありません。何のために意見を表明しているのか分かりません。司会は処理に窮して,「貴重なご意見をありがとうございました」と言うだけで,他の意見を求めます。
その場に相応しい意見を言わずに,ちょっとした連想に乗って我田引水をする人がいます。会議というものになれていないと言ってしまえばそれまでですが,「あの人はどんな人?」という感想が会議の場の流れを乱す迷惑な人という印象にすり替わっていきます。多少非難めいた烙印を押してしまいます。
日本人は議論が下手だという大層な結論を引き出すつもりはありません。言論の自由があるのだから仕方のないことと無視しようというつもりでもありません。会議とは100点満点の人だけがするものではないという事実を見ておきたいのです。出席者は60点の人です。だからこそ,意見を集めてよりよい結論に近づこうとするものです。
的はずれ,ピントはずれがあるからこそ,会議をする意味があります。協議されているテーマを出席者がどのように理解しているか,全員のテーマ理解の幅が浮き上がることで,実践上の広がりが見えてくるからです。多少のずれ,余裕を持たせることで,より多くの人が関われるようになります。
会議は一つの結論を出すことが目的ですが,同時に全員がそれぞれのイメージに従って関われるように結論の広がりを持たせる必要もあります。それが了解を得る鉄則です。社会的な活動はその広がりがなければ,人を巻き込むことはできません。それぞれができることを寄せ合うために会議を開いていることを忘れてはなりません。一人ひとりにはできることとできないことがある,テーマに対して60点である,だから協力しようとしている,それが会議をする意味なのです。
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【質問12-01:ママ,あのね。ママはボクのこと見えてる?】
・・・・・「ボクのこと」という意味を分かってあげましょう。
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○もう一人のボク?
ママとお買い物にいった帰り道で,道路脇にある背の低い木の枝にトンボが留まっていました。二つの大きな目をクルクルと回しているのが見えたので,おもしろいなと眺めていると,「何をぐずぐずしているの。早く帰るわよ」というママの声が聞こえてきました。せっかく見ようと思っていたのに!
雨が降っています。窓を開けて雨を見ていると,雨粒がスーッと落ちていきながらキラッと光ります。ザーッという音がうねって聞こえてきます。突然ママの声が「何をボーッとしているの。早く閉めないと部屋が湿ってしまうでしょ」とかぶさってきます。光と音の風景が遮断されてしまいました。
友だちとおもちゃで遊んでいました。その気になっておもちゃの世界に入り込んでいたら,どこからかママの声が割り込んできます。「いつまで遊んでいるの。いい加減に止めて片づけなさい」。どうしてママはいつでも勝手に割り込んでくるのでしょう。ボクがしていることを邪魔ばっかりします。
ママ,あのね。ボクのことをほっといてくれないかな。ボクが何をしようとボクの勝手でしょ。ボクが何をどうするか,ボクが決めるの! そうでないと,ボクはボクでなくなりそうになるんだよ。ボクがボクでなくなれば,ボクはどうすればいいんだろう。この気持ち,ママに分かってもらえないかな。トンボや雨を見ているボクだけではなくて,そうしようと思っているもう一人のボクがいるんだよ。
あのね,ママ。ママが鏡の前でお澄まししているとき,見られているママと,見ているママがいるでしょ。これで決まりって,感じているママがもう一人のママなんだよ。パパがちょっと派手じゃないかといっても,自分にはこれくらいでいいのって決めているもう一人の自分がいるでしょ。ボクにも自分のことを決めるもう一人のボクがいるんだ。トンボを見たいボクのことを分かってくれたら,帰ろうとボクが決められるんだよ。
・・・《もう一人のボクを見ていてくれたら,分かり合えるはずなのに》
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○子どもの目?
ママがお隣のおばちゃんとお話をしています。「このごろ,目が離せなくなって」と言いながら,ボクの方を見ています。ボクが叱られることばっかりしているせいでしょうか。そういえば,今朝も叱られました。シンブンというカミを郵便受けから持ってくるのがボクのすることですが,雨が降っていて途中でシンブンを濡らしてしまったのです。ボクだってたくさん濡れたのに?
濡れたボクと濡れたシンブン,ママは新聞しか見ていません。もう一人のボクはシンブンを濡らさないようにボクを濡らさなければいけないようです。ボクなんか濡れてもかまわない,もう一人のボクはボクに言い聞かせることにします。そうしないと,ボクがママに叱られちゃうから。
学校で答案を返してもらいました。赤い字で75点と書いてあります。隣の席のマサちゃんは90点です。すごいなと思いました。ボクとマサちゃんはどこが違うのかなと考えました。でも分かりません。ママはきっとこわい顔をして言うでしょう。「あなたは遊んでばかりいるからよ」。
もう一人のボクだって,いっぱい丸をもらって「できたね」と言ってもらいたいよ。でも,どうすればそうなるのか,誰も教えてくれないもの。ママは勉強しなさいと言うだけ。マサちゃんと同じように学校で勉強しているのに,どうしてかな? 答えの出し方ではなくて,勉強の仕方が知りたいな。
あのね,ママ。もう一人のボクはボクのこと大好きだから,いろんなことができるボクになって欲しいと思っているんだよ。もう一人のボクがいることを見てくれていないから,誰ももう一人のボクに教えてくれようとはしない。いつだったか,ママがパパに「子どもの目線」という話をしていたね。分かってくれたかなと思っていたけど,違っていたみたい。子どもの目線とはもう一人の子どもと同じ目を持つことなんだけど・・・。
・・・《もう一人のボクにちゃんと教えて欲しいんだけど》
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○自意識?
ボクが砂場でこけちゃって顔中砂だらけになったとき,みんなでボクのことを笑ったでしょう。あのとき,とっても嫌な気持ちになったんだ。それまでは何でもなかったのに,急に自分が恥ずかしいと感じたんだよ。これって何なんだろうととても不思議な気分だった。
ママとにらめっこをしているとき,ボクが変な顔をしたらママは大笑いをしたね。笑われている自分がいるんだけど,ママを笑わせたと喜んでいる自分もそこにいたんだ。恥ずかしい自分だけど,そんな自分を嫌だと思ったりうれしいと思ったりする自分って,どういうことなんだろう?
学校でみんなの前で発表するとき,顔がほてっちゃって胸がドキドキするんだけど。見られてると思うようになったからかな。フワフワしている自分を何とか抑えようとするもう一人の自分が生まれたみたい。しっかりしなくっちゃ,そう自分に言い聞かせているもう一人の自分が目を覚ましたのかもしれないね。
このごろ,ママがボクのことをどう思っているのかって考えちゃうんだ。いつも叱られている自分と叱っているママ,もう一人のボクはどっちの味方をしたらいいのかと迷っているんだ。大好きなママの味方をしたいから,ボクは自分をいけないやつだと叱らなければならなくなって,とっても辛くなる。ママと一緒に自分をほめてあげるためにはどうすればいいんだろう?
あのね,ママ。ママが「どうしてそんなに言うことが聞けないの」って言うよね。ママを困らせようとしているつもりじゃないんだけど。もう一人のボクがボクのことを知りたいから,あれこれ試しているだけなんだよ。ボクにはこんなことができると分かれば,もう一人のボクがママに叱られないようにボクをコントロールできるからなんだ。ママに言われるからではなくて,自分で自分を育てていきたいんだよ。
・・・《もう一人のボクは未熟だから見守って欲しいんだけど》
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《ボクのこととは,ボク自身を導いているもう一人のボクのことです。》
※何かしら分かりにくい内容だったかもしれません。それでも,是非分かっていただきたいので無理をしました。自信とは,もう一人の自分が自分を信じることができることです。自分を大切にするのはもう一人の自分です。
もう一人の自分がしっかりと育っていないと,自分を大切にすることができません。自棄になるというのは,か弱いもう一人の自分が至らない自分を見捨てることです。自分を見捨てずに育とうとするには,もう一人の自分がママからちゃんと支えてもらっているという実感を持たなければならないのです。
【質問12-01:ママ,あのね。ママはボクのこと見えてる?】
●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね!
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★編集後記★
お届けした「子育て羅針盤」第144号は,いかがでしたか?
この号から新しい版に入ります。十分にこなれた語り口ではないので苦労しますが,温かい目で見て読みとってください。子どもの語りという形式は,偉そうな言葉を封じます。それだけに平易な言葉遣いの難しさを感じています。
限られた行数の中にそれなりの内容をはめ込もうとすると,とても子どもが使えそうもない言葉を持ち込まざるを得ません。その辺りのちぐはぐさは,ませた子どもの話と思ってお見逃しください。次号は女の子に代わります。どうなることやら?
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※ご案内※
●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=
http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear
です。「子育て羅針盤」の「バックナンバー」,〜「掲示板」,
週刊「今週のコラム」,「子育ち12章(Ver.1〜10)」,
「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,
社会教育・ボランティア組織活動の指導者用テキスト〜
などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・
●大小問わずPTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。
関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。
プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。
なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。
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☆予告☆
次号では,
【質問12-02:ママ,あのね。ママはワタシの育ちを知ってる?】
について考えます。どうぞお楽しみに!
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○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban]
○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午
〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)
○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp
●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。
掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと
はできません。事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。
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