《PTA事業への全員参加は異常事態?》

 連れ合いがPTAの運営に関わっているとき,せっかく開催した事業への参加が少ないという嘆きをよく聞かされました。しばらくは「ソウダネ」と慰めていましたが,度重なると聞かされる方が疲れてきます。嘆きを聞かずに済むにはどうしたらよいのでしょうか。すぐに参加を増やす絶妙な知恵が思いつくわけではありません。手始めとして参加者の立場からの注文を付けようと,つい突っ込み過ぎて連れ合いの逆鱗に触れてしまいました。連れ合いが辰年生まれであることを忘れていたのです。
 会長になって連れ合いの嘆きを引き継ぐことになりました。参加が多いとか少ないとかいうときの境目はどこにあるのでしょうか。全員参加が本当に望ましいのでしょうか。それは異常な事態です。物事が成功する割合をランダムに調べてみました。野球では打率三割であれば大打者です。ライオンの餌の捕獲率は二割五分です。太陽エネルギーは三割が地表に届きます。金婚式を迎えられる夫婦は三割です。流行品が定着する境界は三人中一人が所持したときです。こう見てきますと,通常では三割が成功の目安のようです。参加率は既に現状で三割であり,参加者が少ないという思い込みは不思議に消えて行きました。
 同時に,ためになりそうなことを子どもに是が非でもさせなければという押し付けをしなくなり,優しく見れるようになりました。親の希望価格をズバリ半額にしたら,子どもは親の元に笑顔で通ってくれるようになりました。

(No.2:リビング北九州:96年5月11日:1156号掲載)