《隣人が しつけの自信 お裾分け》

 近隣の放置空き缶などを拾う当番が4ヶ月毎に回ってきます。住宅地ですから捨てられている空き缶は少なくて,数個の回収ができればいい方です。のんびりとみんなでひと回りをしますが,その間おしゃべりが盛んです。いわゆる新興地でのご近所つきあいはあまり盛んではありません。
 福岡県の調査によると,向こう三軒両隣との気軽な行き来ができるには,住み始めて3年という年数の壁があります。ところが,子ども同士が友だちというきっかけがあると,すぐに行き来できるようになります。子どもは地域のかすがいです。
 地域に住んでいるといろんなお世話をする仕事があります。子どもがいれば,PTAや子ども会などの世話役をだれかが引き受けなければなりません。地域の世話役を引き受けるようになるには,5年という居住年数の壁があります。世話を頼みにいく方は,5年の暮らしの中で顔見知りになり,あの人ならと任せられるようになります。頼まれる方は地域の人となじみができて,引き受けてもいいかなという気持ちが芽生えます。信頼関係が生まれるには5年かかってしまいます。
 地域の居住年数は子育ての自信にも影響しています。1年に満たない居住年数の親は新天地での生活に張り切っているために自信満々ですが,年数を経るごとにだんだんと自信を失っていきます。5年を過ぎると急に自信を回復します。地域での信頼関係ができていないと親は子育ての自信が持てないのです。
 福岡県では昭和55年には65%の親が子育ての自信を持っていましたが,平成8年になると44%にまで減少しています。その原因の一端は親が地域生活から孤立していることです。

(No.33:リビング北九州:97年12月13日:1235号掲載)