《反抗は 自分が決める 意思表示》

 連れ合いは勤めの行き帰りによく道を尋ねられるようです。周りにはたくさんの人が歩いているのに,どうして私に声を掛けてくるのだろうと不思議そうに話してくれます。一番ひまそうに見えるからだろうとからかったり,人を引きつける魅力があるからだろうとおだてています。ところで,方向音痴の連れ合いがちゃんと道順を教えられたのか心配ではあります。何しろ自分一人でどこかに出かけることがめったにないので,地図の通りに歩けない連れ合いなのです。
 子どもたちは流行に敏感です。流行とは目立つことなのでしょうが,脇から見ているとみんな同じに見えて目立ちません。好きな音楽もテレビの中ではやっているという理由で選ばれています。皆と同じであることに安心しているだけで,個性は殺されています。
 自分の好みを創るためには皆のまねをすることから始まります。そのとき自分に似合うかどうかをチェックすることが大事です。ですから親が見て変な格好をしている子どもに「やめなさい」と頭ごなしに注意するのではなく,「似合わないよ」という助言が肝心です。自分を見る目を目覚めさせるのです。
 個性を出すとか,自発性を発揮するためのキーワードは,一言で言えば自分で決める能力です。子育てがあれこれと指図することに終始すると,子どもは自分で決める訓練ができません。親の言い付けをよく聞く素直な子どもは自分で考えて決めていないという一面を持っています。親が子どもにとりついています。
 パパがどこかに連れていくと言うと子どもは喜んでついてきます。子どもにできる範囲で任せる部分を与えれば,自己決定の楽しさを覚えることでしょう。

(No.38:リビング北九州:98年2月7日:1242号掲載)