《連れ合いと 好みの違い 楽しんで?》

 連れ合いに車の運転免許証を取得させなかったときの約束でお着き運転手の役を引き受けて,買い物には一緒に出かけています。婦人服売場に見るだけと言いながら連れて行かれますが,場違いな感じでなんとなく落ち着きません。身体に当てながら「どっちがいい?」と意見を求められますが,私が選んでもそれが受け容れられた験しがありません。嗜好とは案外に頑固なもののようです。
 髪が伸びてくると「髪を切ろうかしら」と暗に相談を持ちかけられます。ポニーテールが好きですが似合う年齢層があるようで却下されて久しく,「切ったら」と答えています。女性が髪を切るのは心境の変化を願っているとか聞いたことがあり,連れ合いの心境の方が気になります。
 いつまでもそれなりに美しくありたいと思うのは女性らしさなのでしょうか。美人という言葉は女性専用です。優しい人とはどちらでしょう。優男とは言いますが,やさおんなとワープロに打ち込んでも優女とは変換されません。女性は本来優しいものと思われていたから,ことさら優女という言葉を作り出す必要はなかったのでしょう。魔女とは言いますが魔男はいないようです。男は本来魔物であったのかもしれません。
 ところで今年誕生した欧州通貨の単位であるユーロは女性名詞か男性名詞かという問題があるようです。外国の言葉には男性と女性がありますが,日本語の形容詞にも違った意味で男女別が潜んでいるようです。
 形容詞には価値観を表すものがあります。温かい,明るい,強いなどは良いこと,その反対語は固定化したマイナスイメージがあります。人の容姿や性格を形容する言葉には十分に気配りをする必要があります。

(No.65:リビング北九州:99年2月6日:1291号掲載)