《このコラム 書いてる人は どんな人》

 あるアメリカの大統領が2時間の演説なら今すぐにできるが,3分のスピーチは数日の準備期間が必要だと語ったそうです。いろんな場でスピーチを聞く機会がありますが,内容が整理されていて心に響くものにはめったに遭遇しません。流ちょうに語ることよりも,楽しく共有できる話題を提供することがコツです。話が短く凝縮されているほど,聞き手に伝わったときに豊かに膨らみます。整理されていないと,あらかじめ耳打ちされていた持ち時間をオーバーしてしまいます。聞き手に時間を意識させたら,話し手として失敗です。聞き手は気楽です。
 話す方に立つと,言うほど簡単ではありません。思いを伝えることに気を使ってしまって,相手に伝わるように語ることが疎かになりがちです。先日,民放で土曜日に放映されている「子育てひろば」の最終回の録画のため,テレビカメラの前に座らされました。秒単位までの時間制限がある中でアナウンサーと対談する緊張を味わいました。短い受け答えはほとんどアドリブですが時間は過ぎていきますし,テーマについても過不足無く話しておかなければならないというストレスが重なって,つらい11分20秒でした。話し過ぎるとディレクター氏からやり直しの声があっさりと出てきますし,「ハイOKです」の声が聞かれるまで,ひやひやです。視聴者の方に伝わるように話せたか,まことにだらしないことと反省ばかりでした。
 「子育てひろば」は土曜日の午前6時45分から放映されています。朝早いので視聴率も低く姿を広くさらさないで済みそうですが,3月13日の放送日が早く終わらないかと内心で祈っています。話はゆったりとしたいものです。

(No.66:リビング北九州:99年2月20日:1293号掲載)